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心の風景

Vol.40 地方の時代

(このブログはNANBANプレス55号に掲載されたコラムを再編集したものです。)

私が30年くらい前、東京に営業に行った時ある菓子店のオーナーから、どこから来たのと尋ねられ「福岡県糟屋郡...」と話したら驚かれました。「そんなに田舎から来たの。」その言葉の裏側には「そんな地方のオーブンメーカーにいい機械ができるの?」と、ちょっと小馬鹿にされた感じで話されたことがありました。
それから年月が流れて今では、トヨタや日産また大手のコンピューター関連メーカーなどがどんどん地方に工場を作り出し、地方で物づくりをすることの方が土地代や人材の確保や環境などを考えた時に、メリットがあると考える時代になりました。
今では中国などで機械や部品を作るよりも、日本国内の地方で作った方がコストも安いし、クオリティーが高いと言われ出しています。 中国での人件費の高騰は、完全に日本の地方の人件費よりも高水準になっていることも事実です。

つながることの大切さ
私の尊敬する経済評論家の財部誠一氏がラジオの対談で、都心部の特に東京のように一極集中の地域は完全に成熟しきっていると話されました。
家賃や土地代を地方と比較した時に明らかに異常な状況であり、育児の為の保育園の不足や、通勤時間の長さとラッシュの状況は東京独特の状態であること。そういった観点からすると、今からは絶対に地方で物づくりをすることが重要であるし、そこに地方の活路があると。
ところが地方でご商売をなさっている方々にとっては、人口の減少や過疎化といった問題に直面していて「何が地方の時代だ」とお叱りを受けると思います。しかし、それを解決する答えは"つながる"これがキーワードだと財部氏は話されました。私も全く同感です。地方の人口減少だけ見ていると夢も希望も湧きませんが、ここに革命が起きました。
それはインターネットやSNSの出現です。インターネットなどは、まさに地方と都心部そして世界各国とも"つながる"大きな手段であることは間違いありません。
昔の私のエッセイ(2002年Vol・21)で"空中戦"という販売の時代が来ると書きました。立派なお店だからこそお菓子を送ることができる。しかし、今現在の考え方は、美味しい菓子さえ持っていれば、どの地方で作ろうがネット上に仮想の立派なお店を作ることにより、ギフトとして全国に販売することが可能であるということです。いかに分かりやすく美味しさをネット上で提案できてお客様がクリックできるか、この技術を磨く時代かもしれません。そして、それを販売して届ける手段としては、日本国内の運送形態の素晴らしさです。

地方の長所を最大限に生かす
最近アジアや諸外国を回ってみてつくづく感じることは、日本における食品の冷凍やチルドの状態で運送する技術とスピードは世界一ではないかと思うことです。私自身地方に工場を持ってオーブンや生地を製造販売いたしておりますが、地方としての欠点は何一つないと思います。逆に地価や人件費そして人材の確保などを考えた時、何一つネガティブなところはなく、唯一あるとしたら「地方だから市場が小さい?」と思う気持ちが最大のネガティブポイントだと思います。
私どもが、もしオーブンを福岡県だけで販売していたら限界がありましたが、幸いオーブンという性質上、全国への販売展開を最初から行ったことが良かったと思いますし、今ではアジア圏への進出ということからすると"つながる"ことの重要性を強く感じます。
食べ物商売は口の数が多ければ多いほど良いと思います。そういった意味でも地方から都心部へ菓子を販売する、この広がりを考えて頂ければと思います。 私は、この文章を書いた時、ドイツへ向かう飛行機の中でした。昨年の12月に初めてオランダへリムジンのラインを2台納品いたしました。アジアからヨーロッパへと"つながる"気持ちを描きながら、今後も一生懸命頑張ります。
皆様方のご健闘を心よりお祈りいたします。今後とも宜しくお願い申し上げます。