Vol.4
人手不足

この問題は、私がこの業界に入ったときからずーっと続いている問題です。
洋菓子(パテシエ、パテシエール)を目指すための専門学校は驚くほど増えました。生徒が増えると言うことはそれだけ、この業界に多くの若手が来ることは間違いないのですが、最近の若い人の考え方の違いは、昔はA洋菓子店に1年勤めちょっと合わないから、B洋菓子店に勤める、この様な事はよくありました。しかし最近は、Aと言う店が合わなければ、次に働くところは洋菓子の業界ではなく、全く違った職種に変わる若い方が増えていることは事実です。そう考えるとこの問題しっかり考えていく必要があります。

女性スタッフの使い方

洋菓子の専門学校でもほとんどが女性であり、厨房は女性パテシエールの方々の活躍の場になっています。この業界にとって女性の力は絶対に必要不可欠です。しかしここで問題になってくるのは、厨房自体の考え方や作りは、男性中心の考え方になっていることです。女性と男性の違いは、力が弱い事と、身長が低いこの2点が挙げられます、そこで厨房環境の考え方としては、
(1)原則として女性には10kg以上の物を持たせない事
(2)踏み台を使うような高い場所の仕事はさせない。
この2点が非常に重要だと思います。
女性に合った厨房環境の改善は、今後の人手不足を補う為に必要な事だと思います。

パートさんの使い方

(1)能力における時給体系を作ること。
(2)短時間でも参加出来る厨房環境を作ること。
この2点が重要になってきます。
前のプレスに書きましたが、私がカスタードボーイをやっているとき、凄く頑張られるパートの女性達が、厨房内の仕事のことで、我社の職人のA君を選ぶのか、私たちパートを選ぶのか、社長どちらかにしてくれと詰め寄って来られたことがありました。彼女達の言い分は、A君は確かに職人さんだから技術は上であるが、私達には洗い物や下働きのような仕事ばかりさせて仕事が面白くない、私達も色々ご指導いただければ、ロールやカステラ、プリン、チーズケーキその様な商品は作ることが出来ます。そして、それを認めて頂いてパートとしての時給を上げて頂く努力をしたい。彼女達の目は真剣でした。
しかし、その時私は、職人のA君を選びました、これは間違ってない選択だったと思います。ある時、ロールケーキがすぐ売り切れるものだから、A君にロールをもっと作るように指示したところ、A君が言うには、ロールの他にまだ作らなければいけない商品があり、だから作れませんと返事が返ってきました。その商品はあまり売れなく、おそらく売れ残る商品です、ロールはお客様が必要としている絶対売れる商品です、私は強い口調でロールを作りなさいといったところ、「社長、僕はロールを作る為に職人になったんじゃないです」その言葉は職人として間違っています、しかし忙しすぎてA君自身、手が回らなくなっていた状況だった事も事実です。
私はその時、パートの女性が言った言葉を思い出しました、「ロールやチーズ、プリンをご指導してくれれば出来ます、私達はそういう仕事がしたい」A君は私と意見が合わず結局辞めていきました。もし私があの時、A君を守るためにパートの方々を使う事が出来たら、A君にパートを任せるのではなく、厨房内での住み分けを明確にしてパートさんが出来る仕事を、私が取り決め、やらせておけばと本当に後悔しました。

和菓子業界はパートさんの使い方が上手い

和菓子の場合は洋菓子よりも非常に早い時期から、職人不足があり、働く人はパートの女性中心です。
私がまだ試運転やっていた頃、南蛮窯を入れてカステラを指導したのは、パートの女性で、その女性の話を聞くと、その店に15年位パートに来られている方で、この店は働きやすいと言われます。どうしてですかと聞くと、パートの為の厨房があり、時給ではなく、カステラ何枚焼いたりロール何本作ったり、仕事の量の割り当てが決まっていて、例えば今日は昼から子供の父兄参観があり、午前中早めに来て仕事をやってしまおうだとかを、パートさんどうしで仕事の段取りを決めてやっていかれるシステムです。早く帰るために、休憩も取らずおしゃべりもなくやられる姿は、本当に凄いなーと思いました。
今後最も重要になっていくのが、商品を作る為の人材確保、この問題ではないかと思います。売れる喜びがあれば、作る苦しみも生まれるのがこの業界です。今の状況をしっかりと見つめ、創意工夫をしていく事が大切だと思います。シートベルトのランプが点滅しました、もうすぐ福岡です、今年も努力し頑張ります。

お問い合わせ

お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。