Vol.49
この素晴らしい世界に(What a Wonderful World)

木々は緑色に、赤いバラはまた、
わたしやあなたのために花を咲かせ
そして、わたしの心に沁みてゆく。
何と素晴らしい世界でしょう。
空は青く、雪は白く、
輝かしい祝福の日には、神聖な夜と
そして、わたしの心に沁みてゆく。
何と素晴らしい世界でしょう。
空にはとてもきれいな虹がかかり
また人々は通り過ぎながら、
はじめましてと言ったり
友達が握手したりしているのを見かけます。
彼らは心から「愛している」と言い
わたしは赤ん坊が泣くのを聞いたり、
成長してゆくのを見ています。
彼らはわたしよりも遥かに
多くのことを学び、知ってゆくでしょう。
そして、わたしは心の中で思っています。
何と素晴らしい世界
ええ、わたしは心の中で願っています。
何と素晴らしい世界なんでしょう。

※この曲は東京パラリンピックのフィナーレ曲として会場に流れました。

菓子の持つ力の大きさ

この歌を1960年代にルイアームストロング(サッチモ)が歌いました。サッチモはご存知のように黒人です。当時、黒人の中の心の支柱であったキング牧師が暗殺され、新しいアメリカを作り上げようとするケネディ大統領が暗殺されました。ベトナム戦争は泥沼化に入り込みアメリカ国民は多くの不安を抱いていました。そんな混とんとする時代背景の中で、素敵な夢のある歌をあえてサッチモは歌い続け多くの共感を得ました。 今の日本いや世界は正にコロナという大きな試練の中にありますが、そんな中サッチモの歌に共感するかのように、お菓子は人の心をつかみ安らぎの象徴であるという事を感じることが出来る瞬間であったかもしれません。 あらためて菓子の持つ力の大きさを感じました。お酒を飲むことを節約してでも、子供にシュークリームを買い与える親は多いと思います。 人としての最低限の贅沢、心のオアシスとしての役割を果たしていることを感じました。 人と接してはいけない時代、人に差し上げるお菓子よりも、自分自身が食べるお菓子が売れたことも事実です。その様な素晴らしいことに関わる仕事をしていることに感謝しております。

メーカーとしての考え

物づくりの中で気づいたことがあります。弊社はオーブンを製造販売しておりますが、私自身外注で物づくりをすることはあまり好みませんでした。 しかし、同一賃金、同一労働という事が言われる時代、従業員を守る意味でも、仕事の質を考える時代になってきたと考えております。社員には質の高い、付加価値の高い仕事を効率的にすることが今からの時代必要になってきたといえます。 そこで、以前から検討しておりました外注を使いながらの仕事の効率を工夫したところ、驚くほど生産性が上がり、コストダウンと品質の向上に繋がることに気づきました。 菓子作りも0から物を作るメーカーという発想になれば、私が体験した外注の使い方も考える時期に来ているのではないかと考えました。 そこで、私どもに折りパイ工場を新設し、皆様のお店でお作りになるパイ生地をOEMで製造できるようにいたしました。詳細は本文に書いております。 もしかしたら、厨房からパイローラーは必要でない時代が来るかもしれないと感じております。そこのスペースを作ることに時間を費やすよりも、もっと効率的な仕事の環境作りをすることが重要な気が致しました。

見る前に跳べ

コロナ禍に新しいパイ工場を作っていいのですかと心配される業者の方もおられました。しかし、お客様が喜んでいただけるという思いこそが私を突き動かします。必ずお役に立てると確信いたしております。 お菓子は前文でも書きましたように。人々に夢と安らぎを与えるものです。 その菓子作りに携わる方々にこそ、働く環境づくりを作り上げることが重要な時代になってきたと思っております。 このエッセイは書斎で書いております。コロナのお陰で飛行機に乗ることも少なくなった今日この頃です。 皆様方のご健闘を願っております。

(このブログはNANBANプレス64号に掲載されたコラムを再編集したものです。)

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