Vol.43
新たなる挑戦

時代のニーズを掴むことは、今を生きる中では必要なことだと思います。しかし物事を本当に成功させ成し遂げるためには、時代のニーズに合わせるだけではなく、こちらから仕掛けていき、新しい必要性を作り上げることも重要だと考えます。時代が変わるのではなく、自分自身が時代を変えてやるという、強い決意と意思が重要ではないでしょうか。

カスタードボーイ

今から16年前に皆様もご存知と思いますが、東京支店を改装してカスタードボーイという実験店舗を作りました。この時の狙いは、実際にお店を作ることにより、菓子店経営のノウハウを蓄積することでした。お客様へ更なるご提案への磨き込みを、作り上げたいという思いで始めました。カスタードボーイは駐車場もなく、決して良い立地とは言えませんでしたが、売り場3坪のお店で、初年度5300万円売るお店になりました。しかし、更なるノウハウ蓄積のために、1年目に改装してスウィートニューヨークに名前を変えて、全面リニューアルを行
ったりもしました。その中身の濃い時間は、沢山のことを学ばせてくれました。職人さんを使う難しさ、パートさんを使う難しさ、また菓子店として利益を出すためには、焼き菓子を販売することの重要性を実感いたしました。正しくお店をやっておりました3年間は、実験店舗にふさわしい、試行錯誤の挑戦を行いました。これにより、私共の営業の柱であります、提案営業の肉付けに、大きく役に立ちました。この経験は、お客様に対して生きた提案ができるようになったと、あの時を振り返りながら感じております。

マザーセツコのオープン

現在、お客様の大きな問題は人手不足です。この問題は避けることができない大きな問題です。ここに一石を投じるべく、職人不在のお店を作り、実践してみようと考えました。

今年の4月、東京支店を少し改装して、新たに実験店舗を作りました。店名は私の母の名前の節子から「マザーセツコ」というお店に命名しました。スチームラックは七洋製作所の創設者、故内山善次の善をとり「スチームラックZEN」としました。そして父と苦労を共にした母の名をお店の名前にしたことは、私自身の思い入れの深さと、感じていただければと思います。

販売しています商品は、スチームラックで焼成するプリンとリーフパイです。「マザーセツコ」の売りは、スチームラックの高圧蒸気で、回転するラックの中をムラなく焼き上げることで、プリンの口どけが驚異的に変わることです。また弊社の冷凍生地でありますリーフパイが、高圧蒸気によりパリッと感を増し、一段と美味しくなることです。

弊社ではこれをもっと発展的にとらえて、冷凍生地を原材料の一部と考える製造方法を中心としました。スチームラックZENと、冷凍生地を上手く組み合わせることで、厨房は職人さん不在です。素人の方々による、スチームラックZENの焼成能力と冷凍生地だけで、どれくらいのお店が運営できるのかという試みです。

今後このお店が、皆様方への新しいご提案になることを、心より願っております。

6月に東京ビッグサイトでフーマがございますが、その時は是非お立ち寄り下さいませ。

私自身、今年62歳になりました。シンガーソングライターの吉田拓郎の歌で「イメージの詩」の一節に「古い船には新しい水夫が乗り込んで行くだろう 古い船をいま動かせるのは 古い水夫じゃないだろう なぜなら古い船も新しい船のように 新しい海へ出る 古い水夫は知っているのさ 新しい海のこわさを」  とあります。私自身、年齢的には「古い水夫」ではありますが、絶えず挑戦し、果敢に新しい海に出ていこうと思っております。6月のフーマ、東京ビッグサイトでお待ちいたしております。皆様のご健闘をお祈りいたします。

(このブログはNANBANプレス58号に掲載されたコラムを再編集したものです。)

お問い合わせ

お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。