Vol.30
ZENの誕生(0.5歩進む思想)

ZENの誕生(0.5歩進む思想)

ZENの名前は、弊社の創業者であり、私と専務の父(故人)、前会長内山善次の善をもらいラックオーブンZEN(善)という名前をつけました。私は現在弊社の二代目として、全体の舵取りをしております。
二代目としていつも思うことは、創業者の思いと魂にはかなわない、私が目指す永遠の指標であるということです。

父の魂

会社を創業するということは、並大抵のことではなく沢山の苦労と大きな壁があり、それに屈することのない精神力が必要です。父もまさしく人生の洗礼を受け、一生懸命努力しているにもかかわらず2度会社を倒産させました。倒産ということは、ご経験のある方は少ないと思いますが、まさに天と地がひっくり返り、川の流れが逆流するようなことです、普通の精神であれば気が狂うか、逃げ出すかといった状況です。父が頭を丸めて債権者の方々に頭を床にこすりつけている姿と、その側にいる悲しい顔の母、まだ子供であった私達兄弟にとって、人生の厳しさと恐ろしさを、身をもって見せてくれました。今思い出しても目頭が熱くなります。債権者の方々も、父の逃げない姿勢と真面目さを理解していただき、なんとか会社存続させることができました。そして、そこから七洋製作所の創業が始まりました。私達兄弟がそのような環境の中で、真直ぐ育つことが出来たのは、父の如何なる困難にも耐えて、会社を創業していく真直ぐな後ろ姿と、深い母の愛情のおかげだと思います。感謝しても感謝し切れません。
もしあの状況に私が置かれたら、きっと耐えることは出来ないだろうと思います。だからこそ、常々努力を怠らず前に進まなければいけないと思っております。

スチームラックZENの完成

8年前に、神戸の津曲社長から、ラックオーブンのクッキー焼成の為の必要性を教えていただき、そしてラックオーブンZENの1号機を導入させていただきました。まったくの1号機であり外国の製品の真似から始まった為、多くの不備があり、納品後、沢山の商品の不良が出ましたが、そんな中でも津曲社長から色々なアドバイスと励ましをいただき、何とか無事完成納品することが出来ました。
このスタートをきっかけに、本当の意味での日本式のラックオーブンを作ろうという研究がスタートしました。
テーマは、ラックオーブンでありながら、しとりのある上質のスポンジやスフレ、シート、プリン、クッキー、パイなどが固定オーブンと同等の品質で焼成できるラックオーブンを作りたい、この大きな目標です。その為に粒子の細やかな高圧の蒸気の研究や、炉内に流れる熱風の循環の研究を長い歳月をかけて行い、やっと昨年20枚差しの実験機が出来上がりました。その実験機をフランス菓子16区の三嶋社長やスタッフの方々のご協力の下に、何度も弊社に来ていただき、焼成実験を繰り返しました。
貴重なアドバイスや助言をいただき、昨年の11月に16区様に1号機であります20枚差しのスチームラックZENを納品いたしました。三嶋社長から「厨房機はほとんどがヨーロッパからはじまるが、まさしく日本発の新型オーブンだね、このオーブンは凄いよ」この一言に、私自身胸にこみ上げてくるものがありましたし、父の名前をつけた、スチームラックZENの完成の瞬間でもありました。

 

0.5歩づつ進む

野田部長と一緒にヨーロッパで見た、マルシェの生活観と活気をいかに、店内で表現できるかに始まり、マルシェ台、チルドマルシェ、そして半生対応のオープンマルシェと提案していき、業界の中でもマルシェという言葉が定着して参りました。南蛮窯、バッケン、ヨーロピアンタイプ、スルーオーブン、WINオーブン、エヴォリューションタイプとオーブンも0.5歩の積み重ねをしてきました。今年のモバックショーで七洋の新たな0.5歩の前進を是非御覧下さい。スチームラックZENの実演焼成、新作パンオーブンによるパンの焼成、昨年受賞いたしました、グッドデザイン賞中小企業庁長官賞受賞WINエヴォタイプや弊社発のトンネルオーブン「ロングスルーオーブンバッケン」又、「ワクワクドキドキ」をテーマに致しました新店舗提案は今後のご参考になると思います。
皆様方のご来場、スタッフ一同心よりお待ちいたしております。
毎年正月になると、新しい心になり、頑張るぞという新しい決意が生まれます。
この気持ちを忘れないように、今年も精進努力いたします。皆様方のご健康とご多幸をお祈りいたします。本年もよろしくお願い申し上げます。

(このブログはNANBANプレス43号に掲載されたコラムを再編集したものです。)

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