Vol.7
お店にとって大切な事

世の中が非常に悪い状況である事は、言うまでも御座いません。しかし商いをやっている以上、世の中の悪さのせいにはできない事も事実です。 菓子の業界は、自動車関係や鉄鋼関係、IT関連企業のように、打ち上げが対前年比8割~5割ダウンしていると言う事はありません。他の業種の方々と比べたら、まだ良い方だと思います。 不況な時代であっても売れているお店は、今のお客様のニーズは何であるかを確実につかみ、実践実行していく店がこのような時代であっても、確実に売れているお店だと思います。

おやつ菓子店カスタードボーイから洋菓子店スゥィートNYへ

今から6年前に、東京支店を使い実験店舗カスタードボーイ1年と、翌年同一の場所で店舗改装と名前を変更して、スイートニューヨークを1年開きました。2年間と言う短いスパーンにおやつ屋さん(カスタードボーイ)が洋菓子専門店(スイートNY)に成長していくという、まさしく壮大な実験でした。
カスタードボーイは、店舗5坪と言う狭さです。商品アイテムは10種類(シュー、ロール、チーズケーキ、プリン、イチゴショート、イチゴのアントルメ、焼き菓子3種類)、スタッフはパートの女性中心で、初年度の売上げ5,300万を達成という上出来のスタートでした。
翌年その勢いで改装を行いました。スイートNYは商品アイテムを44種類に増やし(アントルメ10種類、プチガトー20種類、焼き菓子10種類、パン4種類)、製造スタッフは男性中心で若干のパートスタッフです。スイートNYはカスタードボーイに比べて品数は4倍以上ありました。私はかなり売上が上がる絶対的な自信がありました。ところが今だから話せますが、売上げはそれほど変わりませんでした。この現実は私にとって大変なショックでした。しかし、この問題は菓子店が発展段階に陥る大きな問題と考え、私はその事を一生懸命分析してみました。

お客様に対するさいだいのホスピタリティー(おもてなし)は品切れをしない事

ある日スイートNYでロールケーキが品切れ状態でした。そこで厨房をのぞいて見ますと、スタッフは違う種類の菓子を作っています。どう考えてみても、その菓子は売れ残りそうな商品で、閉店後、案の定売れ残っていました。種類が多いことは大切なことではありますが、買いたい商品が品切れになることは、チャンスロスそのものであり、お客様は買いたい商品がなければ、何も買わないで帰ってしまう、2度までは許してくれますがそれ以上になると来なくなるという最悪の自体になっていきました。
要するに、製造側は商品の種類を作る事に必至で、売れ筋商品を追っかけて製造する事が出来ない状態になっていました。間口はとても広いが、奥行きの無い、薄っぺらい店になってしまった訳です。
やはり一番大切なことは主力商品や集客商品を絶対に品切れ状態にしない事、これはお店の売上を左右することになります。タイトルにも書きましたが、お客様に対する最大のホスピタリティー(おもてなし)は品切れをしない事であると思います。菓子店は嗜好品ですから、お客様はどうしても祝日、土日に集中します。その時、どのくらい売れ筋商品、目玉商品の品切れを出さずお客様に販売することが出来るか、この力こそ売上げの壁を破る突破口であると思います。

パレートの20%と80%の法則

イタリアのパレートという社会学者が唱えた、20%・80%の法則があります。
例えば会社の80%の利益を上げているのは、その会社の全セールスマンの20%である。
全体の売り上げの8割は2割の上顧客により作られている。
商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割から生み出されている。
要するに、全体の売上を大きく左右する、売れ筋、目玉商品を品切れにしていたのでは、売上げは上がるはずが無いということです。
私はカスタードボーイとスイートNYでこの法則を体で体験したことになります。
パレートの法則は、わが社の上田君が話てくれました。彼がもう少し早くこの法則を教えてくれていたら、展開は変わっていたかもしれません。しかしこの体験は私共がお客様に提案していく中で、とても大きな糧になっています。
飛行機が日本上空になります。今回の出張は上海とソウルでした。中国の元気とソウルの景気をレベルアップするスピードにはたいへん驚きました。不景気だからこそ”本物が売れる時代”。この気持ちでがんばりたいと思っております。

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