Vol.21
入りやすい店作りから、入ってみたくなる店作り

ギフトを買うときの客心理

ある女性がこんな話をされていました。私がどうしてそのお店でお菓子を買われるんですかと尋ねると「このお店の美味しいお菓子を見ると幸せになります。そしてそのお菓子を誰か大切な人に食べさせたくなります。それは素敵なラッピングで包まれ、きっとそのお菓子を差し上げた大切な方も今私が感じている幸せと同じ幸せを感じることができ、一緒に幸せを共有できると確信します。だからあの大切な方に送りたいんです。私だけのこのお店のこのお菓子を」この女性の言葉の中にはまさにギフトの本質があると思います。

世の中ではよくこんな言葉が使われるようになりました。「ナンバー1から、オンリー1を目指す」私だけの店、私の為だけの接客、私の為の特別なメニュー、要するにお客様の要求はどんどん高くなっていき、その要求に対して絶えず応える努力をしている店だけがギフトが売れ続けることが出来る店であると思います。ギフトが売れる専門店。これはオーナーにとって永遠のテーマです。

独立から次のステップへ

最初の店作りは資金的なこともあり、入りやすい店を作られます。狭い店内、それをカバーする為の笑顔とやさしい接客、そして狭いがゆえに生まれる厨房と店との臨場感。この感覚は今のお客様に非常にマッチしています。私が思うに、時代は変われどこのタイプの店は繁盛します。しかしどうしてもオーナーは次のステップに行かざるをえなくなります。なぜなら社員の待遇や売り上げを上げる為の設備の増強などを行う為に、客単価と利益率を上げるにはどうしたらよいだろうかと考えますし、なんといっても長年の夢である自分の個性を出した店作りの実現このことはギフトの売れる店と同じ意味を持つと思います。

「独立は夢の実現ではなく、夢を実現させるための手段である」今年はまさに私の周りには夢を実現されようという方々があちらこちらで行動を起こし出しました。表題にもありますように、「入りやすい店」から「入りたくなる店」を実際として構築されようとしておられます。そこでご心配されるのが、親しみやすい今の店から、ギフトを売るための格式をつけたときに、今のお客様が敷居が高くなりすぎないかと言うことです。私が思うにギフトを売るということは店にエレガント(スペースとゆとり)が必要ですし、親しみやすさや日常性を持たせるためにはカジュアル性(オープンキッチン)が必要です。この二つを一緒に持ち合わせることが大切です。まさに夢の実現にはエレガント+カジュアル=エレカジュが必要だと思います。

夢を実現した後、最も大切なこと

店が立派になると自分自身が偉くなったと錯覚することはとてもマイナスだと思います。オーナー自身は多くの借り入れと、今迄の苦労を思い出し逆に謙虚になられる方が多いと思いますが、製造スタッフや接客担当者にそのおごりが現れたときに、これをお客様にも感じられるとしたら、どんなにすばらしい建築物であったとしてもその店の衰退が始まります。「実るほど頭をたれる稲穂かな」という言葉がありますが、入りやすい店から、入りたくなる店になったとき、もう一つお客様に対してのお辞儀を深くする意識と感謝の気持ちをスタッフ全員で持ち続けることが一番大切だと思います。

仙台空港から山形行きの高速バスが奥羽山脈をぬけて山形蔵王が見えてきました。いつ見てもこの景観は雄大です。この大自然に比べたら人の存在は小さなものだと思います。だからもっと努力し向上心を持たなくてはいけないと語ってくれてる気がします。これからも頑張ります。よろしくお願い申し上げます。

(このブログはNANBANプレス21号に掲載されたコラムを再編集したものです。)

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