Vol.16
日々のお客様を増やす

日々のお客様を増やす

平日は暇なのに、クリスマスなどのイベントや、土曜日曜には人が押しかける。あっという間に商品が切れる、待ちくたびれたお客は怒って帰る。「ああっ、このお客様が平日に分けて来ていただけないだろうか」しみじみ思われたことはないでしょうか。

菓子は完全な嗜好品です。弁当やおにぎりなどの空腹を満たすものではありません。そのために上記の文章にもありますように、祭事や記念日、お祝い事には強いが、日々のお客様に弱いことは仕方ありません。繁盛への大きな第一歩はこの日々のお客様を増やす事から始まる事だと思います。

神戸の津曲社長に問い掛けたところ「クリスマスや祭事に力を入れるより、とにかく一番大切にしている事は、日々、毎日のお客様にどれだけの思いを伝えて美味しいお菓子を食べていただいているか、だと思う。私はただそれだけの事を一生懸命にやっている。そうしたら、何もしなくてもクリスマスや祭事にはお客様にたくさん来ていただける。」と。

一年目のリニューアル

オペラの濱田社長との出会いは、今から6年前、オープンしてから1年目の暑い夏でした。独立して1年目で年商3千万円を上げられていました。話をしていく中で、今の店を年商1億円の店にしたい夢を熱く語られました。そして、これを実現するためには、上記の文章ではないですが、いかに日々のお客様を増やすか、そういうコンセプトから私は濱田社長にこう切り出しました「店舗のリニューアルをしましょう」と。濱田社長は驚いた顔をされました。考えてみると当然のことで、従来リニューアルとは業界では10年に1回のペースであるのが基本の考え方であります。ましてや濱田社長は裸一貫で独立され1年しか経っておらず、決して資金的には楽でなかったことは事実です。

私はこの時、柔道の話を引用して「一本背負いのような大技のリニューアルではなく、足払いのような最小限のマイナーチェンジのリニューアルをやりましょう」とお伝えしました。このリニューアルの狙いは日々のお客様を増やすことです。それからいかに日々のお客様を増やすか、店作りからリニューアルのチラシに至るまで話し合いました。そして、いろいろな意味で今やったほうが良いと言う答えが見えてきた時、濱田社長は静かに「内山さん、やりましょう」今でもあの時の濱田社長の声の響きが私の耳に残っています。まさに、1年目のリニューアルが決定した瞬間です。

あれから6年、同じ店舗で驚異的な数字である年商2億円を達成されました。お店の立地は決してよくありません。店舗8坪、厨房12坪のマンションの一角です。マンションの上空は世界一の空の路線と言われている東京-福岡便が毎日100本以上往来する空港の近くであり、隣はセブンイレブン、近くには大型量販店が映画館やパチンコ店などを併設した一大アミューズメントがあり、その中には沢山の洋菓子、和菓子のお店がしのぎを削っています。そういった中でのこの売り上げは、今苦戦されながらも頑張っておられる専門店の方々に大きな希望を持たせてくれると思います。

今回の更なるリニューアルは、まさに、現状に店舗で年商3億円を目指すための仕掛け作りです。私どもも世界で始めての新製品「オーブンは焼き菓子のショーケース」バッケンスルー・ウインタイプを濱田社長に導入していただき、更なるオペラ様の夢の実現に貢献できればと思っております。濱田社長の口癖は「勢いのある時に次の手を打つ、力が失速したときに時にどんな手を打っても効果がない、だから今やるんです。」

東京ショールームの開設

今回のオープンは焼き菓子のショーケースという、まったく新しい提案をするにあたり、本格的なショールームの必要性と、今まで福岡本社でしか行っていなかった南蛮塾を、東京でやってくれないかとのご要望などにもお答えするべく、東京支店の下で実験店舗としてやっておりましたスゥイートニューヨークを、本格的なテストキッチン南蛮塾とショールームにする事を決定いたしました。皆様方に少しでもお役に立てればと思っております。是非ご利用ください。

今、飛行機は東京から長崎に向かっています。今日は午前中長崎でお客様と会い、それから車で山口の萩に向かい、夜中に博多に戻る予定です。相変わらずハードです。しかし、私も濱田社長に負けないように、私の好きな言葉である「見る前に飛べ」の精神で頑張ります。皆様のご健闘をお祈りいたします。

(このブログはNANBANプレス25号に掲載されたコラムです。)

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