Vol.9
気づき

仕事の面、家庭生活、人間関係この中での「気づき」は、自分自身が成長していく時の大きなきっかけです。そして「気づき」には段階があ り、初期的な「気づき」から自分自身が成長していくたびに「気づき」 のレベルガ上がっていきます。「気づき」は発想の始まりであり、行動のきっかけとなります。
私たちが「気づく」という事には、2つの次元があります。
ひとつは 「アンダースタンド」=理解する、という分かり方。これは通常、私たちが「分かる」という次元。しかし、私たちが生きていくうえで、人生を創造していくうえで、更に会社で仕事をしていく上では、もうひとつの分かり方それは、「リアライズ」という分かり方。頭だけではなく、「実現する」という事です。そして、「リアライズ」実現実行することにより、また 新しい「気づき」が起こります、まさにこの繰り返しが成長であると思います。

イバ展示会に出展する(リアライズ)実現する

イバ展示会は、3年ごとドイツのデュッセルドルフとミュンヘンで交互に開催される、世界最大の製菓製パンの厨房展示会です。世界中から約1000社のメーカーが出展し、8万人のお客様が来場されます。日本の小さなオーブンメーカーがここに出展することは大変なことです、しかし私の長年の夢でもありましたし、イバ展により新しい「気づき」が生まれることを期待して出展を決意しました。いざ出展となると、色々な問題がでてきました。何トンもするオーブンをどのようにして梱包して送るか、搬入はどうするか、装飾はどうするか、言葉の問題はどのようにクリアーするか、カタログは何カ国語必要なのか、その他エトセトラです。
この中で一番問題になりましたのは、EU諸国が持っているローズ法という制度で、こんなことを書いてはいけないかもしれませんが、アジアから安価な商品をEU諸国に入れない、ちょっと保護的な、いじめっぽい制度です。出展することが決まりこの制度の取得に努力しましたが、結局間に合いませんでした。この為この展示会で我社の製品を販売することがEU諸国では出来ないという、非常に限定的な出品になってしまいました。

イバ展示会による「気づき」

展示会が始まり来場されるお客様に、どのようにバッケンや南蛮窯をアピールしたら良いだろうか、考えた結果、我社が一番自信を持っているカステラの実演焼成をすることに致しました。果たして、ヨーロッパの方々がカステラに対してどのような感触をもたれるか心配ではありましたが、その反響は非常に大きく、連日黒山の人だかりが出来ました。彼らが一番驚いたのは、スポンジの焼きあがりと柔らかさです。ヨーロッパではスポンジはラフに焼き、アンビベ(シロップをかける)やり方ですから、スポンジ自体がこんなに柔らかく焼きあがることに、非常に大きな関心と感動があったようです。レシピーをくれだとか、作り方を教えてくれだとか大変な反響でした。私はこの時、日本のスポンジの商品レベル高さは、世界に類を見ない品質が高い事と、又外国の方々もこのような食感を好まれる方々が、多くいるということが我社のブースの黒山の人だかりを見て「気づき」ました。本質的に日本の菓子は口解けのよい商品作りは非常に優れていると思います。そして更に進化させて「お菓子も喉ごしが良い商品」の追求が、世界に対して日本の菓子の確立するところではないかと、私なりに感じました。

見る前に飛べ

もし、今回のイバに出展しないでいたら、ローズ法のことも解らないし、今我社が進まんとする、高品質のスポンジを焼成を目指すという方向性も「気づく」事が出来ませんでした。若い方々のお伝えしたいのは、何事も考えるだけでは物事は解決しないし、進展もしない、お客様に対しても製造技術に対しても、又自分の目指す夢に対しても、若いころは「見る前に飛べ」ぐらいの気持ちで立ち向かっていただきたいと思 います。
50歳を過ぎて強く感じることは、前向きな生き方とは「気づき」→「理解する」→「実行する」そして又「気づく」この繰り返しをやり続けることだと思います。

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