Vol.22
空中戦を描く

サンマの刺身

数年前、北海道羅臼に仕事で行った折り、宿の近くの小料理屋でサンマの刺身を出してもらいました。その時の店主がサンマは非常に鮮度を保つのが難しい魚だから、サンマの刺身を食べる事が出来るのはこの地域だけであると話されていました。確かに九州在住の私にとっては、非常に珍しくその美味しさに舌鼓をうった事を覚えております。しかし、ここ最近、福岡の居酒屋でもサンマの刺身を見かけるようになりました。これは、流通システムの著しい発達のおかげで可能になったことでしょう。また、小樽の魚屋さんで蟹や鮭を買うと「いつ帰るのですか」と聞かれます。帰る日に合わせて蟹をボイルして飛行機で送るから、家に帰ったときに美味しい蟹が食べられるよと話されます。

菓子販売の状況も時代と共に変化してきました。昔は商店街の中という立地の店が中心でした。しかし現在は車社会になり、郊外であっても車を停めやすい立地の店が好まれるようになりました。また、今まであまり見せなかった厨房をオープンに見せる事が好まれるようにもなりました。お客様の店に対する嗜好は刻々と変化しているのです。

ここで少し発想を変え、こんな考えをしてみてはどうでしょうか。現在の店の販売方式は立派な店を作り、お客様に徒歩や車で来て頂く方式が中心です。これを例えば「陸軍方式」としましょう。こう考えると「空軍方式」があっても良いのではないかという事です。前文で書いた様に現在ではクール便の普及により、個人宛に商品を冷凍や冷蔵の状態を指定して短期間に運ぶ事が可能です。これを利用したお菓子の販売も積極的に考える時代に入ってきたのではないでしょうか。

九州に住む私に北海道から生の魚介類が届く時代ですから、ギフトとして地方に送るものは焼き菓子だけでなくても良いという事になります。まさしく空軍方式と言いますか「空中戦を描く」事、ここに大きな一つの専門店の活路があるような気がします。通販やインターネット普及によりお客様自体が店に行かずとも商品を買う事になれて来ている現実があるという事です。

空中戦を描く

ここでクローズアップされるのが、皆様方が昔から作ってこられた「顧客リスト」の活用です。全国のお客様を回っていると、長年に渡る催事やポイントカードにより、たくさんの顧客リストを持っておられます。しかし、せっかく作られたそのリストが何も利用されないまま放置されているお店の多い事も事実です。空中戦にとってこの顧客リスト(顧客管理)は大きな鍵になってきます。店までお客様に徒歩や車で来て頂く陸軍方式だけのギフトの展開には限界があります。ここにいち早く気づく事が大切だと思います。

歴史の浅い店も、積極的に活きた顧客リストの作成を行う事が大切ではないでしょうか。今まで私ども七洋は、全国のお客様の情報を集め、たくさんの知識の蓄積、そしてご提供を続けてまいりました。その1つが「空中戦」のご提案です。勝ち組と負け組がはっきりしてきた時代から、その勝ち組の中からもう一つの色分けの時が来るとすれば、空中戦も一つの鍵になるような気が致します。

(このブログはNANBANプレス20号に掲載されたコラムを再編集したものです。)

お問い合わせ

お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。