Vol.14
高級料亭のV字の復活

平成17年1月17日 5時46分阪神淡路大震災が起こって10年がたちました。震災により亡くなられた方々に、社員全員で黙祷を致しました。

新潟県中越地震

自分には起こらない、また他人事のように思っていた事が実際に降りかかる、災害と言うのはそういうものです。
昨年予測の出来ない災害が新潟を襲いました。10月23日新潟中越地震です。震度は最大で7。それから約1ヶ月半半余震が続きました。平成16年12月17日東京から新潟の新幹線はまだ復旧しておらず、福岡から飛行機で地震に遭われたお客様のところへお伺い致しました。

特に今回被害が大きかった地域は、魚沼市の川口町と小千谷市でした。街自体は復興に向けて動き出してはいますが、やっと余震が落ち着きお店を再開しても、その街の人が避難所に移り住んでいない状況であったり、道路の回復工事の為、店の前の道路が遮断され、自衛隊と工事の車しか入れないそのような中での再開です。

川口町の龍昇堂の社長様とお話しする中で、一つのチラシを見せて頂きました。そのチラシのタイトルは「負けません」「あきらめません」「元気を出して」必ず復興します。その下に川口町の色々なお店の名前が記載され、被害に遭いやっと再開しますというチラシです。色々お話しをさせて頂き、帰り間際に社長様、奥様、おばちゃんが負けないで頑張るから内山さんといわれた時、胸にこみ上げてくるものがありました。

一日も早い復興を心よりお祈りいたしております。またこの地域の私共の代理店であります長部商店の皆様の救援活動には、心より感謝いたしております。

売り上げが低迷した高級料亭のV字の復活

洋菓子店は洋菓子を販売する。和菓子店は和菓子を販売する。パン屋さんはパンを販売する。これは当たり前の事ですが、日々の売り上げを上げる為には、今迄の概念を打ち破らなくてはいけないと思います。

福岡に創業30年以上の老舗の高級料亭があります。そのお店は他の高級料亭が廃れていく中、今も非常に繁盛しておられます。勿論今の様に順調な時ばかりではなく、客足がとうのいた時期があり、大変なピンチだったそうです。その時になさったのがお昼のランチです。

高級料亭のランチですからさぞかし高いだろうと思いきや、料理の見た目と味では3000円から3500円位はするだろうなというものを当時800円でお店に出されました(現在は1000円税別)、時間は午前11時から午後2時30分までです。毎日お昼時になるとお客様の長蛇の列ができ、現在でも2000食出されると言う事です。ランチをやることにより、お客様が沢山来店され、昼間がこの値段でこれだけ美味しいのなら、夜は高くてもきっともっと美味しいだろうとお客様は思われ、その流れが夜の料亭の方につながり、まさにV字の復活をなさいました。

この事で非常に興味深いのは、高級料亭とはある意味、嗜好品的考え方が出来ます。まさに食べなければ食べなくても良いと言う観点からするとお菓子と同じ土俵であると言うことです。しかしお昼のランチはこれは主食であるということです。

例えば、洋菓子店が2種類位でもいいでしょう。すごく高級なバターを使ったクロワッサンを出すとか、ご自分のお店で作ったジャムでジャムパンを作るとか、和菓子屋さんがご自分のお店で作った高純度のあんであんパンを作るとか、この様にお店の中に少し主食の発想を取り入れることも日々のお客を増やすには必要だと思われます。

この高級料亭の成功は昔からある「のれん」を今の「のれん」に取り替えた事にあります。この事は言葉では簡単ですが中々大変な事です。洋菓子店も和菓子店もお店の構えやスタイルがあり、その形を変えることは非常に難しい事です。しかし集客力が落ちているお店を見ていると、昔作りあげたスタイルが時代に合っていない、まさに、「昔ののれんがお店の邪魔をしている」と言えるのではないでしょうか。

集客力のある店とは時代の流れをしっかりと掴み、移り気で、我がままなお客様の気持ちをしっかりと汲み取り、商品や店舗を絶えず変化させているお店であると言えます。
今回のモバックのテーマはお店の「のれん」を少し変えてみませんかがテーマです。

コンビニなどが高品質の和菓子、洋菓子をどんどん出す時代になった今こそ、専門店ならではの独特の販売方法がとても大切であるといえます。お客様との最大の接近戦をする部分の事を、マルシェ(市場)というイメージでお店の中に作る。そしてこの部分が今までの「のれん」や「形」にこだわらずなんでも出来るお店の変革のきっかけになればと、私共は考えております。

大阪で開催されます今年のモバックは、ブース全体にご自分のお店とイメージが湧くような色々なパターンのマルシェを作り上げて、皆様方のご来場をスタッフ一同心よりお待ち致しております。

今、飛行機は沖縄から福岡に向かっております。青く広がる真っ青な空と雲海を見ながらこんな言葉を思い出しました。「いつまでも有ると思うな親と金、無いと思うな運と災難」自分自身油断せず、いつも危機意識を持ち今年も頑張ります。

(このブログはNANBANプレス27号に掲載されたコラムです。)

お問い合わせ

お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。