福岡市中央区薬院
フランス菓子16区
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内山 昨年の8月に長年お使いいただきました「バッケン」を「スーパーバッケン」に買い替えていただき、大変ありがとうございます。お使いいただいて、焼き上がりはいかがでしょうか。
三嶋 ジェノワーズもいいし、パイもクッキーも全部いいですね。どれも〝下火がきちんと入る〟ようになりました。
内山 ありがとうございます。今、ムッシュにお褒めいただきました〝下火がきちんと入る〟ということですが、これは今まで固定窯にとって構造的にとても難しいことでした。通常、どの固定窯も上火の高い温度の影響を受けて下火の温度が下がりません。
このため下火のセンサーは、下火が常に設定温度を超えた状態だと判断するために下火がオンになりません。つまり下火が入らないまま周辺温度で生地を焼いていることになります。ですから下火に力がありませんし焼き上がりも安定しないのです。
「スーパーバッケン」は〝下火リセットシステム〟で下火に空気を送ることで上火の影響を取り除き、常に正確な温度で下火が入るようにしました。
三嶋 なるほど、〝固定窯の下火を安定させる〟とは凄いことを実現しましたね。おかげさまで、この〝下火の安定〟によってダックワーズが私の理想通りに焼き上がりました。
ダックワーズはもともと下火で焼くのです。もちろん上火も必要ですが、下火が入っていないとベチャッとした感じになっておいしくありません。「スーパーバッケン」は下火がきちんと入ってくれて、今までよりも焼成時間が短くなりました。だいたい15~16分かかっていたのが、今は13~14分くらいで焼けるようになりました。
内山 短く窯から出ると、焼き上がりが変わるのでしょうか。
三嶋 早く焼き上がりますから、生地が戻った時のしとりがとてもいいのです。うちではダックワーズを焼いて2個ずつ袋に入れます。
焼いてから大体3日目から6日目くらいがおいしいのですが、「スーパーバッケン」で焼くようになってからは、3日目から10日目くらいまでおいしい期間が延びました。
上火も下火も適正な温度でピシッと包み込むように焼くと浮きがとても安定しています。表面はパリッと焼き上がり、中には水分が残り今までよりもフワッとしていてやわらかく、とても火抜けがいいと思いました。
内山 先日、「スーパーバッケン」で焼いたダックワーズを一口食べさせていただいた時に、そのおいしさにハッとさせられました。私は何度もこちら様のダックワーズをいただいておりますので、今までのものとの違いがすぐにわかりました。
三嶋これだけたくさん焼いていますから、焼き色が違っているものや、浮きが悪くてネチャッとするものが少しはあっても仕方ないと思っていました。
でも今は全部浮きが良くて綺麗に同じ焼き色に焼き上がります。「スーパーバッケン」は凄いですね、本当に〝スーパー〟です。
ダックワーズを販売して41年が過ぎました。七洋さんが密閉度を極め続け高い焼成力を追求し続けるのと一緒に、私どものダックワーズも品質を高めてきました。
そして、今度は下火のコントロールができる窯を手に入れて、フランス菓子16区のダックワーズも42年目にして、また大きく進化しました。本当にいい窯をつくられたと思います。
内山 他のお菓子の変化はいかがでしょうか。
三嶋 マロンパイも良くなりました。今まではどちらかというと周辺の温度で焼いている乾燥焼きに近い状態だったのではないでしょうか。「スーパーバッケン」はやっぱり火が入りますね。層が一枚一枚浮いてパイが軽くなりました。食感もサクサクとさらに良くなりました。
ガレットブルトンヌも良くなりましたね。これも生地の中心まで下火が綺麗に入ることで、ザクザク、ホロホロと崩れるような食感は軽さを増し、濃厚なバター感も深みを増しました。 シフォンケーキなどにもやっぱりいいですね。凄くしとりが出てきちんと焼けています。この良さは、やっぱり使ってみないとわからないでしょう。
内山 ダックワーズなどの焼き菓子が早く安定して焼けるようになることは、経営面では具体的にどのようなメリットがございますでしょうか。
三嶋 それは、仕事の効率が一番大きいでしょう。一回ごとの焼成時間が短縮できるから仕事は早く終わりますし、短縮できた時間を使って増産することもできます。しかも焼成ロスがなくなるのも大きいですね。
私どもの営業時間は午前9時から午後8時まででしたが、今は午前10時から午後6時です。
これからの経営環境を考えて、スタッフの働く時間の適正化にも積極的に取り組みました。たとえ売り上げが下がっても、店の営業時間を3時間短くしました。
内山 ところで、売り上げは下がりましたでしょうか。
三嶋 結果的には以前よりも売り上げは伸びて利益も出ています。しかし、ただ営業時間を短くしたわけではありません。提供する菓子、アイテム数、製造のローテーションなどあらゆるものを見直しました。
そして、こうした見直しはお客様への接客や菓子の品質を維持するのではなく、むしろ上げるつもりで臨みます。
時代は大きく移り変わろうとしています。新たに導入した「スーパーバッケン」のポテンシャルをぐっと引き出して、時代の勢いを大いに先取りしたいですね。
取材後記
取材
お菓子の素カンパニー (株)七洋製作所
代表取締役CEO 内山 素行