時代を知り、菓子を表現すれば、
和菓子にはまだまだ
新しい可能性が広がっています。

滋賀県近江八幡市

たねやグループ

CEO

山本 昌仁 様

滋賀県近江八幡市

たねやグループ

電話 0748-33-6666

「たねやグループ本社」は2016年に甲子園球場3個分もある広大な「ラ コリーナ近江八幡」に移転されました。「クラブハリエ」をはじめ、次々に新たな展開を進める「たねやグループ」CEOの山本昌仁様に、7月にオープンされた商品はカステラだけという「カステラショップ〈栗百本〉」と菓子店経営についてのお話をお伺いしました。

内山 「たねや」様はこの夏に?商品がカステラだけ?というお店をオープンされました。思い切った展開に驚きましたが、お考えをお聞かせ頂けますでしょうか。

山本 カステラは和菓子屋にとって揺るぎない商品です。そして私どもにとっては欠いてはならないものです。昔からやってきて更に父(現 会長)が技術を磨き上げました。この?父が作り上げたカステラ?を表現したかったのです。カステラはお客様に和菓子の魅力を知って頂く導入口だと私は思っています。そこから広がるものがたくさんあるのです。
和菓子の文化はニューヨークでもパリでも、今、認められてもの凄く流行っています。日本では和菓子の人気がどんどん衰えていますが、本当はそうではないのではないでしょうか。和菓子は伝統を守るという大義名分のもとに、時代をよく見ず、その流れに合わないことを言い過ぎてきたのではないでしょうか。私は、伝統は継承していかなくてはならないと思っていますが、守ってはいけないと思います。伝統は先人がやってこられたことが伝統であって、これを守ってしまったら次につながりません。継承していくためには今何かをやらなくては、次の代から伝統と言ってもらえないのです。
そのためには時代背景をしっかりと見て、変えていかなくてはならないものは勇気をもって決断しなくてはならないと思います。カステラも、「売れない、売れない。」とよく聞きますが、本当は売れるのです。私どものカステラショップでは実際に凄く売れています。お客様への提案の仕方を変えることで、商品はカステラしかなくても1店舗で凄い量が売れています。お客様がどういったものを欲しがっていらっしゃるのかということを、どういったシーンでお召し上がりになっているかをもっともっと和菓子業界は見ていかなくてはならないと思います。

内山 拝見いたしますと?カステラ?の他に、?八幡カステラ?という商品がございますが、これはどのようなものでしょうか。

山本 私も以前は日本のカステラしか知りませんでしたから、「カステラはこうでないといけない。」という形を持っていました。その後、海外を回ってみてカステラというのは色々な考え方があることを知りました。そして、作ったのが?八幡カステラ?です。
父親が焼いていたのは長崎カステラですが、その前の先代はシフォンケーキのように、ちょっとふわりとしたものを焼いていたようです。この形を変え食べやすく小さくしました。
カステラだけのお店をオープンしようとした時に、「通常の長崎カステラタイプだけだと、金額も張るし気軽に食べられない。焼き立てを食べるよりもしばらく置いておいた方が絶対に美味しい。それならイートインスペースで召し上がって頂くには、軽い?八幡カステラ?がいい。」ということで、カステラショップで二つの商品を売り出したのです。?カステラ?は主に進物として、?八幡カステラ?は日常買いとしてお買い上げ頂いています。
そもそもカステラ用のオーブンは1台あったら十分でした。南蛮窯は3台入れてもらいましたから、販売範囲を増やしてデパートでも販売しようといって始めたのですが、結果的にはこのお店だけで精一杯です。更に別の工場でも生産をする予定です。

内山 「たねや」と「クラブハリエ」、ご兄弟でますますご発展されておられます。よくご兄弟で経営するのは難しいと言われますが、その辺りはいかがでしょうか。

山本 確かに、上手くいかない話は聞きます。ですが、兄弟だからこそ上手くいけばこれほどしっかりとしたことはありません。生まれた時から「たねや」の環境に育って、その精神は父親の姿を見てお互いに理解しています。父親と3人普段合わなくてもその感覚はあります。この太い幹が変わらなければ、「たねや」も「クラブハリエ」もその精神は全くぶれません。

材後記

(株)七洋製作所 代表取締役社長
内山 素行

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