地産地消、
究極の素材でブランド戦略
ギブアンドギブの精神

【箕面本店】大阪府箕面市坊島【江坂店】大阪府吹田市豊津町

シェ・ナカツカ

オーナー

中塚 幸宏 様

【箕面本店】大阪府箕面市坊島【江坂店】大阪府吹田市豊津町

シェ・ナカツカ

電話 072-720-3636(箕面本店) 06-6821-3636(江坂店)

シェ・ナカツカの歴史
2010年10月 箕面本店オープン
2016年9月 本店隣に生産力強化、環境を整える為、工場40坪新設
2018年6月 江坂店オープン
平成28年 なにわの名工 受賞

『シェ・ナカツカ』本店がある箕面市は、大阪市内中心部から15㎞圏内にありながら、自然豊かな環境の良さから、近年人口増加が続いています。阪急箕面駅から車で約10分、近隣には大型商業施設があり、お店の隣にはコンビニがあります。
現在9年目に入り、オーナーパティシエ中塚幸宏氏が手がける新悦パティスリーは、地元を愛し、四季折々の素材が味わえるお菓子であり、常に探求心を忘れない、創造性あるアートな世界観を演出されております。
溝江 オープン当初についてお聞かせください。
中塚 製造社員3名、パート5名、販売2名でスタートしました。とにかく作りたてを徹底しています。本店にあるバッケン2枚差し3段で朝からスポンジ、ロール、シュー皮を焼いて仕上げ、シューは『ご注文をいただいてからお詰めします。お時間をいただきます。』というスタイルです。今の時代効率を考えると、作り置きだと思いますが、お客様に最高の味で提供したいというホスピタリティに反します。美味しいお菓子を作っていれば、絶対お客様に喜んでいただける!という必死の思いでした。修行先は、行列ができる超人気店。しかし自分の店では、こんなにもお客様が来てくれないのかと驚く状態でした。正直、知名度が無かったのです。商品にも味にも自信をもっていましたが、思うように売上に繋がりませんでした。
お店の転換期は、某百貨店の催事でした。催事の話があり、『いまの環境では無理』という考えでしたが、ある若いスタッフから『是非やりましょう!店を知ってもらえるチャンスですよ!』と言われたのがきっかけです。この言葉に驚かされ、そして嬉しかったのを覚えています。
早速スタッフ全員でミーティングを行い、催事事業をスタートさせました。当初は主力商品の生ケーキ、生キャラメルシフォン、生チーズタルトでチャレンジしました。お客様も多く、手応えを感じました。その反響もあり本店の来店客数が伸びました。
そこで学んだことは、アクションを起こす事が重要だということです。行動して初めてわかる事があります。その経験をもとに改善し、企画を修正しながら進めました。まずは何事もチャレンジすることをおすすめします。
溝江 生ケーキの集客で、焼き菓子、ギフトの動きはいかがですか?
中塚 正直、微妙でした。これが売りたいという商品が定まってなく、これでは成長できないと思いました。ちょうどこの時期に溝江さんからご提案いただき、店舗視察をしました。北陸地方で『地産地消』をテーマに、食に関する話をはじめ、ブランドづくり、その他たくさんの面白い話をお聞きしました。大変素晴らしいご縁に感謝しております。

ブランド戦略、『地産地消の究極の素材を使うこと』について

坊島プリン(通年商品) ¥295
大阪産の濃厚な平飼い有精卵を使用することに特にこだわりがあります。
新工場にスチームラックオーブンZEN20枚差しを導入したことで、ルセットの見直しをかけ、卵黄率を限界まで上げてとろとろに仕上げ、見事に完成。ZENの蒸気の力は凄いです。蒸しプリンとは違いますね。以前は固定窯の焼成時間は約35分でしたが、ZENでは約22分まで短縮でき、正直驚きました。

柚子ゼリー(季節限定) ¥250
箕面の柚子は、『実生ゆず』と呼ばれる種から、結実するまで18年かかります。この香りも格段に良いのが特徴です。これをどう活かすかが勝負でした。天然水を使用し、極限まで凝固剤を減らしてできたのがこの「柚子ゼリー」です。
その新食感から、マスコミからも話題となりました。
当初はバッケンで殺菌し、間に合わないので銅鍋での殺菌を繰り返しながら行っていましたが、熱く大変危険でした。スチームラックに切り替えてからは、網にゼリーを並べてラックに載せるだけで一度に大量に殺菌ができ、生産効率は格段に上がりました。スタッフがつかなくて良いのが助かっています。販売は5~9月、製造数は約5万個。最近では百貨店のカタログ販売にも挑戦しています。

もみじパイ ¥140
箕面市には『日本の滝百選』に選定されている落差33mの大滝があり、紅葉が有名です。
シェ・ナカツカには、パイ菓子『箕面もみじパイ』があります。一口食べると口いっぱいにバターの香りが広がる、もみじの形をした人気商品です。この焼成にもスチームラックオーブンZENを使用しています。焼成工程はいろいろと試しましたが、蒸気を数%加えることで、ふっくら焼き上がり、表情や食感が抜群になりました。私どもは、パートスタッフが焼成しています。現在は、生産量も調整しながら年間約3万枚製造しています。

だるまパイ(勝尾寺にて限定販売)
箕面市には、勝尾寺という勝運で有名なお寺があります。敷地内にはたくさんの『だるま』が並んでおり、昔から縁起物として親しまれています。そこの住職とご縁があり、お菓子の相談が入り、開発したお菓子が『だるまパイ』です。最初は上手く膨らませるのが難しかったのですが、ZENの温度コントロールで焼成時間も早くなり、層がきれいに出て、より一層美味しくなりました。
中塚 これらの戦略で、新しい販売のあり方を考えることができました。
2018年6月に2号店江坂店を出店。江坂エリアは、商業施設や企業が沢山あり、売れる商品が本店とは違いました。商品は本店から配送、ショーケースは6尺、アントルメケースのみ。常に変化させながら、少しずつですが、売上も安定してきました。
この店が出来たことで、また一つ『新商品』を育てています。
溝江 それは楽しみですね。
中塚 最近、私自身さまざまな会合で、『成功者』と呼ばれる方々と出会います。その方々は、当初から華々しい成功をおさめてきたというわけではなく、『最初は失敗の連続やわ』と話されます。私も一緒だなと思いました。大切なのは、その『失敗』をどう活かすかということと、同じ失敗を繰り返さないように、次はこうしようとポジティブに考えることです。
過去の成功事例は、同じことをやれば、同じようにうまくいくと考えてしまいます。しかし、当時とは時代も市場の状況も変わっているのだから、同じことをやって同じようにうまくいくとは限りません。むしろ失敗する確率が高いのです。その点、失敗事例は、いつの時代でも大切な教訓を学べます。『成功事例よりも、失敗事例から学べ』。これからも新しいスイーツにチャレンジし、丹念につくっている時の心情を忘れずに、品質の安定にも力を注いでいきます。ご縁を大切に、出会うすべての方々に感謝の気持ちを伝えていきたいと思います。

材後記

 コンテストにも積極的に参加し、多くの最高賞を獲得。人との繋がりを大切にしてきた中塚氏は、声がかかると率先して他店のヘルプや催事に積極的に行かれます。その「ギブアンドギブ」の精神こそが、今も大きな助けとなっているのだと感じました。この度は、取材にご協力いただきました中塚夫妻、そして何より笑顔が素敵なスタッフの皆様、本当に有難うございました。

七洋製作所 大阪支店
支店長代理
溝江 誠

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