今までのラックオーブンの
概念をかえてしまう
凄いオーブンです。

福岡県福岡市

フランス菓子16区

社長

三嶋 隆夫 様

福岡県福岡市

フランス菓子16区

電話 092-531-3011

七洋さんは、また、画期的なオーブンを作りましたね。

内山  11月末に私どもの「スチームラックZEN20段」をご導入いただき、たいへんありがとうございます。お使いいただいていかがでしょうか。

三嶋  凄いオーブンをつくりましたね。このオーブンは今までのラックオーブンとは全然違います。画期的です。今までラックオーブンではスフレやジェノワーズは上手く焼けないというのが常識でした。このオーブンはジェノワーズが楽々焼ける。むしろ、固定窯で焼くジェノワーズよりいいかも知れない。まったくムラ火がありませんね。炉内どこにおいても、同じように火が入る。

内山  ありがとうございます。三嶋社長から、いろいろとご指摘を頂きながら、つめて、つめてつくりあげた結果です。

三嶋  このオーブンの潜在能力はまだまだわかりませんね。いろいろな可能性がたくさんあると思います。おそらく新発見がいっぱい出てくる。ジェノワーズはきれいな目に焼けて、しかも速い。スフレは均一に見事に浮く。いままでのラックの概念を超えています。極端なことを言えば固定窯なしでも店がやれるということになるかもしれません。一号機で使ってもおかしくないと思います。固定窯がないと広くスペースがとれますね。

内山  それはちょっと、固定窯を販売している私どもとしては何とも申し上げにくいのですが……。
固定窯というものは、柔らかく焼く、そして保湿性があるというイメージ。ラックオーブンは粗く焼く、大量にバンとパリッと焼けるというイメージ。「スチームラックZEN」には両方の機能があります。ですから、固定窯なしでもやっていけると思います。

三嶋  内山さん、心配無用です。極端な話をしただけですから。ダックワーズは固定窯でないと焼けない。スチームラックは風があるから粉糖が飛ぶ。しかし、そのくらいこの窯はいいですよ。

内山  ああっ、よかった。固定窯がいらないと言われるかと思いました。

三嶋  今までのラックオーブンは荒々しい火でクッキーやサブレの焼成を中心に使われてきました。それが、「スチームラックZEN」は、綺麗に、しかも、固定窯よりきれいに上がります。これはやっぱりびっくりしますね。あれだけ違ったら、これはもう何でも焼けます。マロンパイも大きくふくらんでくれるし、フィナンシェも焼けます。固定窯の場合は上火と下火で生地を包み込むようにじっくりと焼きますが、この窯は横からも火が入って、しかも熱の到達が速い。スチームの影響もあるだろうし、炉そのものの密閉度も影響していると思います。
それでは、実際にそれぞれの生地を焼いて、この窯の凄さを説明しましょう。

内山  三嶋社長、たいへんお忙しいところ、ありがとうございます。

ジェノワーズの焼成

内山  ジェノワーズの焼き上がりに三嶋社長が触れて、「これは上りの感覚が違うぞ。」とおっしゃいましたが、どこがどのように違うのでしょうか。

三嶋  表面の焼けている皮の部分が薄いのです。それは、たぶんスチームをかけて焼成するからだと思います。ジェノワーズなどは、生地が乾いたらスチームをかける、乾いたらかけるという感じで焼いて行ったほうが絶対にいいと思います。5パーセントのスチームを1分おきに3秒、5回をかける、そんな感じです。それに加えて、炉内が密閉されて、全体に均等に風が当たって、圧力がかかる仕組み。つまり、窯の全段が同じ状態になっている。このことが皮の部分を薄くきれいに焼成する大切なポイントだと思います。

内山  表面が焼けて厚くなればなるほど熱を反射してしまうので、焼き面は皮が薄いほど生地は浮きますね。

三嶋  ですから、速く焼けます。全然違いますよ。窯に瞬発力があるから鮮度を出せる。うちは、その日に使うジェノワーズはその日の朝に焼きます。「スチームラックZEN」があるからこそできる、ジェノワーズ生地の鮮度への挑戦です。足りなかったら追加で焼く。最近、アントルメがよく出ます。スポンジ系のお菓子が出るようになったのは鮮度勝負の結果でしょうね。

スフレの焼成

三嶋  とにかく浮きがいいですね。スフレは固定窯で焼いても、焼き目のつく上の面は火が入ると真中が膨らんできて、窯から出すとスーッと落ちる、そんな感じですが、「スチームラックZEN」で焼成すると、真中の部分も周りの部分もきれいに均一に上がります。焼き目も薄くとてもきれいです。おまけに固定窯より速く焼き上がる。スフレがこんなに焼けるなんて、正直に言って不思議です。

内山  本当にきれいに上がっていますね。固定窯で焼いたと言っても、だれも疑わないでしょう。

フィアドーネの焼成

三嶋  普通、フィアドーネは固定窯で焼成しても表面が割れやすいので、途中で2回くらい窯から出してやります。割れる前にちょっと出して冷まして、また入れて、また冷ましてという具合です。冷ましてというか、1分くらい窯から出して熱をとらないと、表面が縞模様に割れてしまいます。「スチームラックZEN」で焼成すると、一度も出さなくても、割れずにきれいに焼き上がる。とにかく凄いですね。

内山  窯から出して熱をとる作業がないわけですから、これは大きな作業時間の短縮になりますね。

マロンパイの焼成

三嶋  今まで使っていたラックオーブンの焼成だと、パイ生地が伸びないから、もし、ラックでマロンパイを焼くことがあったとしても、それは緊急避難的でしかありませんでした。焼成したマロンパイを見たらこれは固定窯で焼いたもの、これはラックオーブンで焼いたものと、すぐにわかりますから。ラックオーブンで焼いたマロンパイは固定窯で焼いたものに比べて、浮きが弱く小さい。

内山  「スチームラックZEN」はいかがでしょうか。

三嶋  今までのラックオーブンとはべつものです。固定窯のように上火が入るとか、下火が入るとかではなくて、横も、底も、全体からきれいに火が入っています。それがこの窯の一番の特徴でしょう。ですからパイが浮きます。パイ生地が浮いてきたら、まだ色がつく前にちょっとスチームをかけます。そうするとパリッときます。スチームをかけるとしっとりすると思うかもしれませんが、スチームをかけた方がパリッと上ります。

内山  フランスパンも初めに蒸気をかけますが、あれは表面を薄くパリッと仕上げるためです。
それと同じことですね。

三嶋  今ではマロンパイは全部「スチームラックZEN」で焼成しています。

パティスリーの仕事の組み立てをかえる

三嶋  どうでしたか。実際にこの窯の焼成を見て。

内山  自社製品ながら、びっくりしました。常に、温度、風力、密閉性、湿度など数値的なことを目安に製品をつくりあげて行きますので、このように最高レベルの使い手に焼成していただくと、その具体的な結果がわかります。私どもでは十分につかめてなかったことが、三嶋社長のおかげで、つぎつぎと目の前に表現される感じです。ありがとございます。

三嶋  やっぱり、焼くというのは面白いですね。面白いというか、わからない発見がいっぱいありますね。自分の経験値の範囲で、これはこうだからこう上がってくるだろうと思っていても違って焼き上がってくる。もともと焼くということは面白いのですが、今回のスチームラックには思い知らされます。

内山  「スチームラックZEN」が固定窯の代わりもできて、しかもスピードがあるとすれば、パティスリーの仕事の組み立てを変えることもできるような気がしますが、いかがでしょうか。

三嶋  その通りです。「スチームラックZEN」は瞬発力があって、量が焼けます。クッキー、サブレは20%くらい時間が短縮できます。 焼く物によりますが平均で15%は短縮できるでしょう。うちも、今はクリスマス前の時期だから、すぐに仕事の内容をかえられないけれど、たとえば今うちが朝やっている焼き物は、すべてスチームラックに1人、2人を配置して、そうですね1人半くらいでもいいかもしれません。そして、極端に言えば、朝10時ごろからダックワーズをやれば、仕事が早く終わる。早くなったうえにいい形になります。

内山  先日、津曲社長にお会いした時に、「内山さん、これからの専門店はラックオーブンを使ってどんどん焼成するようなシステムでないとだめだと思う。」とおっしゃっていました。
そのことの意味がようやくわかってきました。この窯があれば忙しい思いをして、夜遅くまでひたすら焼成をすることも軽減できます。スタッフ不足の問題や労働時間の短縮にもつながります。

三嶋  そうですね。わかります。今回の窯は、焼成レベルの面から、そして、パティスリーの仕事の組み立ての面からみても、今までのラックオーブンの概念を変えると思います。

内山  ありがとうございます。私どもも、菓子業界に少しでもお役にたてるよう努力いたします。本日は、たいへんお忙しい中、ご指導ありがとうございました。

材後記

(株)七洋製作所 代表取締役社長
内山 素行

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