ミニ展から始まった
新しい挑戦を
「熱意」を持って話し合った。

長野県伊那市

古町あかはね

代表

樋代 敏彦 様

長野県伊那市

古町あかはね

電話 0265-72-5003

市丸  お父様が60年前に創業された町の中心部のお店から、伊那から木曽へ抜ける峠の途中で、前店舗から6km離れた場所に移転され約一年半がたちましたが、ご商売のほうはいかがでしょうか?

樋代  お客様が以前より遠くから来ていただけますし、買っていただいた方から「おいしかったよ」と言っていただけます。当たり前と思われる方もいるかも知れませんが “前店舗とは違った”というより “以前より多くのお客様がいらしている”ことが、実感として感じられます。

簡単に言うと商売は順調に行っているということですが、3年位前まで考えていたのは、親父が元気なうちは、親父のやり方でやっていくしかないのかなということでした。反面このままでほんとにいいのかな 何かしなくても大丈夫かなという葛藤する気持ちがありました。たまに東京の老舗や名店と言われるお店を見ては、「いつかあんな店ができたらいいな」と思いつつ、伊那に帰ってくると、東京とはまったく違う条件の中で「しょうがないな」という言葉で収めていた気がします。そんな時、地元(飯田市)でオーブンメーカーの七洋製作所の実演会(ミニ展)があるということを聞きました。何かいい新商品でも見つかればという軽い気持ちで参加したところ、商品の実演よりも、なぜこんなに和菓子屋である自分の気持ちの中にあった「本音」のようなところがわかるのだろうとショックを受けて帰りました。

その後、市丸さんが営業でこられた時、このままでいいんですか?福岡に来ませんかといわれ「必ず行きます」と思わず返事をしてしまいました。

市丸  そうですね。そして来て頂いたのが、二年半くらい前でした。いかがでしたか?

樋代  あの時見学したのは、洋菓子専門店の方が多く、また卵業界の会社がお菓子を作っているお店なども見せてもらいました。和菓子専門店という目線ではなく、それぞれのお店でのお客様を見た時、商品を選ぶのが楽しい商売がそこにはありました。

東京では見ることのできなかった”何か”があり、人口とか場所とか駐車場が無いとかという問題が以前より小さく思えるようになりました。そのことにより、父が自宅を建てるつもりで購入していた峠の途中の土地に、自宅と一緒に店舗・工場を造る計画が一気に進みました。

そこからは、とにかく多くのお客様に来ていただく為「集客」を最優先のお店づくりを考えていくと、福岡で見た「オペラ」さんはシュークリームで集客していたし、ロールケーキは、定番商品にして若い客層に来てもらい、お店にはやはりスルーオーブンを置いて、というように考えがまとまりました。

市丸  今のお店はオーブンの前にシューの皮がおいてあり、注文を受けてからカスタードを入れるやり方で、横のケースにはプリン・ロール・大福が置いてありますが、その中で目を引くのは「きんつばロール」「きんつば栗ロール」ですが、お客様の反応はいかがですか?

樋代  そうですね。うちでは、ロールが集客を増やしているのがわかります。今だと平日で60本から70本買っていただきますしその中でご年配のお客様がロールを買うのはお孫さんへと思っていたら自分で召し上がる方が多いのには驚きました。 とにかくお客様の年齢層が広がったことがはっきりわかります。

市丸  和菓子専門店がロール・シューなどやることに抵抗はありませんか?

樋代  ありません。なぜなら和菓子自体の売り上げも上がっているからです。ミニ展で言われていましたが、和菓子屋さんはもともと利益の上がるギフト商品は持っているし、洋菓子屋さんも本当はもっと焼き菓子ギフトを販売したいのです。ですから和菓子屋さんがやっていなかったのは、集客商品を鮮度よく売ることによ新しい客層の取り込みで、うちはその集客商品のおかげで、和菓子の方にもよい影響が出てきました。以前は製造してから1週間で回転していた商品が2日で回るようになり、鮮度も上がりいい状況になっています。ですから製造の方も今までは父、私、そしてパートさん2名でやってましたが、今年の春からは製造社員が2名、紹介ではありますが、本人の希望で入ってくれます。

市丸  社長は2代目でいらっしゃいますが、先代からの引継ぎの時期にお店にオーブンを置いてロールやシューを販売することは、お父様からの反対は無かったのですか?

樋代  そうですね、親子ですから昔のことや小さなことを話しだすと当然意見は合いません。
私はとにかく、父のつくったお店を何とか今よりよくしたいし、責任も自分で取るからという熱意を持って話しました。やはり、親は子供の「熱意」に弱いのかもしれませんね。

市丸   私どもは、平成20年4月から名古屋営業所を開設して、昨年は11回ミニ展を開きました。伊那から営業所までは片道130kmありますが、樋代社長にはそのうち2回参加していただいてます。今年もやっていきたいと考えています、是非ご参加ください。

樋代  必ず行きます。家内も又行きたいといってますし、夫婦そろっていける講習会はほとんどありません。今は情報があふれていていますが、その情報の生かし方が難しいと思います。七洋さんのミニ展の中には、具体的に何のために、どんな商品を、どうお客様にわかりやすく伝えるかということが、たくさん詰まっていますし、以前見たお店がまた次の手をうたれたことなど聞くと自分たちもまたやらなければという思いになります。

市丸  ありがとうございます。これから、お店も会社も人も成長して、少しづつでも進化を続けるためには、興味を持ったお店や注目されているお店を観続けることの大切さを感じ、それをお伝えできればと思っております。私共のミニ展でも「熱意」を持って取り組みます。
本日は、ほんとにお忙しい中取材を受けていただきありがとうございました。

材後記

場所がいいとか悪いとか、人口が多いとか減っているとか、景気が悪いとか、外部環境はある意味どうしようもない話ではないかと思います。常に今の時代でうまくいっているお店を何度も見て、話を聞いて 何もしないのかするのか、いろいろな選択肢がある中、「あかはね」の樋代社長はご自分で見て聞いて決断され前へと進まれました。必ずうまくいくと思います。

株)七洋製作所  名古屋営業所所長
市丸 隆

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