" 連理の枝"
2度の災害も一致団結
して頑張っています。

岩手県陸前高田市

御菓子司 木村屋

代表

木村 昌之 高子 洋平 様

岩手県陸前高田市

御菓子司 木村屋

電話 0192-54-5511

吉安  平成23年3月11日東日本大震災で、本店、支店を津波で流され、現在仮設店舗にて頑張っておられます。現在までの経緯をお聞かせ頂けますか

木村  私どもの店は昭和元年創業で、今年で86年営業しています。和菓子がメインでスタートし、私で3代目です。平成元年1月11日、店舗工場兼住居が火事のために全焼してしまいました。何とか中古の機械類を購入して再開したのですが、窯は当然中古(メーカー不明)で、当時お客様からよく注文をいただいていたカステラが上手く焼けずに悩んでいました。そこで、何かいいヒントがつかめないかと平成4年、東京で行われていたモバック展示会へ行きました。

その会場で、七洋営業マンの方が、カステラの実演焼成をされていました。職人でもないのにとてもスムーズな作業で、もの凄くいいカステラが焼き上がったのを見て、ショックを受けました。その場で迷わず南蛮窯642を購入。これで、カステラ製造にあたり窯に対するストレスもなくなり、製造も順調に展開し出しました。

平成14年、”道の駅”高田松原物産館内に念願の支店を出しました。店名は、『窯工房KIMURAYA』とし、主に焼き菓子、パン、ケーキを製造販売しました。

吉安  木村様には、スルーオーブン日本第一号機をご導入していただきましたが、いかがでしたか。

木村  そうでしたね、あれが日本で初めてのスルーオーブンでしたね。支店をオープンするにあたり、当時営業されていた、七洋さんのカスタードボーイ(アンテナショップ)を視察に東京へ行きました。カスタードボーイにあったプロトタイプのオーブンを見て「これこそが新しい店にピッタリだ。」と直感しその場で即発注。「価格も決まってないのに。」と苦笑いされたのを覚えています。それでも心よく『窯工房KIMURAYA』仕様を考案していただき、平成14年11月の開店に間に合わせて頂きました。スルーオーブンの第一号機は、調子が抜群で大変重宝しました。

しかし、『窯工房KIMURAYA』の売上は結構あったのですが、商品数が多すぎてロスも多かったため、忙しい割には実がなく、利益率が低いのが悩みでした。そもそもが、”道の駅”の物産館なので、殆どのお客様が産直品をめがけてくるため、特にギフト商品は売れなくて苦戦していました。

そこで商品ラインアップと製造工程を見直し、本店は和の焼き物。支店は洋の焼き物を中心に絞り込み買い易いギフトに力を入れてきました。また、新しい販売網の開拓にも力を注ぎました。

そのひとつが地元酒造メーカー『酔仙酒造』とコラボすることでした。大吟醸カステラを桐箱で展開。オリジナルのパッケージまで完成させました。2つ目はホームページを立ち上げネット販売ルートを開拓しました。そして、3つ目が地域振興(株)という第三セクターとの取り組み。この3つのルートを総合的に展開する直前を、あの震災の津波で全てやられてしまった。

平成23年3月11日の東日本大震災、家族は大丈夫だったのですが、従業員1名を失ってしましました。その従業員さんは、私の片腕の職人だったのでたいへんショックで、しばらくはお店を再開する気持ちがおきませんでした。

また、街は壊滅的な状況で、ここ数年は営業できないと思い、ボランティア活動を積極的にやりました。県外からの支援を受け入れて、高齢の被災者の方々に”陸前高田手焼きせんべい”を焼いて貰い県外で販売していました。しかしその後、沢山のお客様から本業の再開を急げとの叱咤激励で、早期再建を決意したのです。

ただし、資金面での問題がありました。幸いなことに、震災前の分の旧債務は、二重ローン救済策として、岩手県の債権買取機構に債権を買い取って貰い(凍結期間10年)、同時に金融機関から新しい資金繰りを受けられました。また、沖縄から北海道までの投資家の方々を有する民間ファンドから投資を受ける事も決まりました(750名:1名1万円~)。さらに、その投資家の方々に、商品を買って貰いお客様になっていただき、口コミで宣伝までしていただき、販売は広がりました。

しかし、いくら支援といえども、商品が良くないと続きません!被災地企業として甘えることなく、営業を続けて行くには商品はきっちりとしていなければいけません。全国的に通用するお菓子作りには、きちんとした機械や設備が絶対必要でした。

最初は、格安の機械を購入して始めよう、と思いましたが、多少資金的に無理してでもきっちりとした商品を作り続けることに決断。再開するにあたり、菓子店の経営上、ランニングコストを落とせるオーブンを考えていました。ですから無駄な電力を節約できる「ECOバッケン」は”ドン・ピシャ”でした。ご案内いただいて、すぐに決定、平成24年5月に仮設店舗で菓子店を再開しました。

吉安  働く方々に専門的な経験者がいない、とお聞きしましたが

木村 そうですね。未経験者の女性が中心となっています。七洋さんからの、「ECO バッケン」の窯としての性能が高く、七洋さんの情報提供や技術指導が大きな力になっています。

吉安  女性スタッフの方にお伺いします。ECOバッケンはいかがですか。

砂田  以前からバッケン(スルー623)を扱っていましたから、バッケンの良さは知っていました。「ECOバッケン」は操作パネルが液晶タッチパネルなので、慣れるまでやりにくかったのですが、今ではすっかり慣れ、こちらの方がスムーズです。電力が節約できていますし、ECOモードで使用することで節約への意識が高まり、製造時間に対する気持ちまで変わってきました。

吉安  店舗の全焼から再開、さらに、津波被害からまた再開。2度の大きな災害を乗り越えて来られた姿には頭が下がります。今回は、仮設店舗にて取材をさせて頂きましたが、仮設にもかかわらず皆さん元気で楽しそうにお菓子作りをされていました。近い将来に、ちゃんとした店舗を持お持ちになり、さらなるご発展に向けて頑張って頂きたいと思います。

材後記

七洋製作所 東京支店 営業次長
吉安 宏平

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