Vol.6
原点回帰

異常気象の夏が終り、秋がやってこようとしています。菓子屋さんにとって涼しい夏は、八月の売り上げダウンをそれほど感じさせず通過することができた方々が多かったことを感じました。しかし楽観は禁物、やはり夏は暑くないと農作物の不作、家電の落ちこみ、アパレルの落ちこみ、夏売れるべき商品が動かないと云うことは、今後の景気に暗い影を落とすと思います。特に嗜好品である菓子はその影響を受ける心配があります。そんな景気の中でいったいどんな方法論が正しいのかそれを考えてみたいと思います。こんな時代は、回帰現象的(一回りして元へもどる)なことがおこる時代ではないかと、そして菓子とは何か、何故人は菓子を買う必要があるのか私は色々な方々と出会う中で菓子の社会的位置付けは何かと考えてみました。菓子→嗜好品。これを事典で調べてみますと「栄養のためではなく好きで飲んだり食べたりすること」とあります。ようするに主食ではなく好みであると云うことなのです。しかし、好みというジャンルの菓子を菓子屋さんや皆様の努力で文化性、地域の風土性、季節感こういったものを表現するものとなっていったといえます。
神戸にある洋菓子屋さんが菓子についてこんな話しをされていました。
その店は、駅前にありいつも多くのお客様で繁盛しています。
夕方会社が終わり、あるお父さんが駅につきました。「最近は忙しくて子供達と話しをしていないなー、しかしこんな時世に旅行をするにもヒマもカネもないし・・・」フト前を見ると菓子屋さんがありました。「そうだケーキでも子供達に買っていってやろう。店内に入ると素適なケーキがたくさんあります。イチゴショート、シュークリーム、エクレアその素適なケーキが千円札一枚で子供達に買いもとめることができました。自宅につきます、今日はケーキのみやげがあるせいか「ただいま」の声もひときわ大きくなります。子供達が玄関に出迎えます。「かおる、ケーキ買ってきたよ。」「わーお父さん、ありがとう。」そして皆んなで、テーブルを囲み団らんの中でケーキを食べながら色々な話しが生まれる。
僕は、自分の作っているケーキがこんな役割をはたしていることを信じているし、こういったやりがいが僕にケーキを作らせているんです。千円札一枚でお客様に家族の団らんを提供することができる素敵な仕事ですね菓子屋って。
この話は今から二年前に聞いた話しです。それから平成五年は、バブルがはじけ政党が変わり今まで優良とされていた企業が低迷しまさにいろいろな変革が起きています。
こんな時にふとあの時のシェフが話された菓子は団らんを作る大切なカギであると云われたことを思いだします。
こういった時代だからこそ菓子本来が持っている力を見つめなおし回帰的なことを考えてみて原点にかえってみることも大切な気がしました。追伸 神戸のその店は現在も非常によくご繁盛なさっています。
名古屋から博多へ向かう新幹線の中で

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