Vol.8
震災に負けない心
阪神大震災の被災地の方々へ、心より、早くご復興をされることをお祈りいたしております。私が地震のニュースを聞きましたのは、名古屋にいた時でした。その時は、ただ「大きな地震だったんだなあ。」と思っただけで、まだ実感はありませんでした。やがて、テレビなどの情報がどんどん入って来るにつれて、この地震がもたらした被害が、私が想像しなかったほど大きなものだと感じて行きました。
地域の代理店また、お客様に電話しても全くつながらず、また、交通機関もシャツトアウトの状態で、ただ心配すると言う日々が続きました。1月27日、私どもの大阪支店より「なんとか現地へ行けそうだ。」と言う連絡が入り、新潟にいた私は、急遽、寝台車に乗り、翌日の朝、大阪へ入りました。
途中、車では行けないと思い、オートバイなどを手配する用意をしましたが、なんとか阪急梅田駅から青木駅まで電車で行き、大阪担当の吉原君が、青木駅まで迎えに来てくれ、とにかく時間がかかっても、回れるだけ回ろうと行動を始めました。
長い長い渋滞の中で、三宮の街がやっと見えて来ました。私は神戸と言う街は、たいへん好きな街で、何と言っても洋菓子店のメッカであり、街の風景にゆとりと品格のある素晴らしい街と言うイメージをいつも持っておりました。しかし、今、神戸の中心である三宮を見た時、ただ愕然とし、目頭が熱くなるのを感じました。ビルと言うビル、高速道路など、テレビで見た以上の被害の大きさに、呆然と街を見ているだけでした。
人間は、自然の力の前では、本当に無力だと、私自身の気持ちが、どんどん落ち込んで行く中で、なんとか私どもの代理店である、不二商会へ着きました。幸いなことに、この地域は最小の被害で済み、不二商会のスタッフの皆さん全員が、元気に地域の復旧のために動かれていました。
車の中で、こんな時、いったい何を話せばいいんだろうと悩んで来た私に、藤波部長がにこやかに対応してくれました。びっくりするような目の輝きを見せ、「こんな時こそ、ディーラーが活躍する時です。」「私もいっしょうけんめいがんばります。」「専務も応援たのみますよ。」と話しかけられました。その言葉の語気に強さを感じながら、いろいろたいへんなことがあるのに、それをおくびにも出さないでがんばっておられる。その姿に、今まで落ち込んでいた私が、逆に勇気づけられました。
スタッフの方々の中には、親戚の方が亡くなられたり、家が全壊してしまった方などさまざまな問題を抱えながら、自分の仕事は何か、今、自分は何をしなくてはならないかをしっかりと考え、積極的に行動される姿に感動し、励まされました。
それから何軒かの菓子店を回りました。本当に、すべてのお客様の所へ行きたかったのですが、パニック状態の続く中では、とてもむりで、申し訳ない思いでいっぱいでした。電気と水は何とかめどがついてきたものの、火がなくて困っていること。そして、関西地区はプロパンガスが不足し、どこにも売っていない状況であることを聞き、福岡でカートリッジ式のガスボンベを何千本と買い込み、大阪支店のスタッフがお客様の所を回って、お配りする日々が続いております。
人間は、確かに自然に対しては、無力かも知れません。しかし、それに対してピンチをチャンスに変えることのできるのが人間の力だと思います。神戸地区の方々に、本当にたいへんなことですが、がんばっていただきたいと思います。私どもの会社も、できる限りの援助を考えております。何かございましたら、ご一報お願いいたします。
追伸 藤波部長が、別れ際に「専務、落ち着いたらまた、三宮でステーキでも食べましょう。」と言われて、何か胸にこみあげてくるものがありました。早くその日が来ることを心からお祈りいたします。



