Vol.15
「後継者について」

「後継者について」

私がこの業界に入り19年が経ちました。毎月50社ほどのお客様を回り、色々な場面を体験する中で、後継者問題は非常に重要な事だと感じます。会社の今後に対して非常に大きな影響を及ぼします。かくゆう私もその後継者であり七洋の二代目です。前文にも書きましたが、今年の6月から社長に就任致しまして、采配を振るっているわけなんですが、色々なお店や会社を見て後継者への伝承がうまくいっているところやいないところ、さまざまな場面を見てきました。まず、基本は後継者となるべき方が、後を継ぎたいと思うかどうかが一番大切な事だと思います。
私が存じ上げているお菓子屋さんに、立地的なことや、時代の流れにうまくついていけず、非常にご苦労されているお店がありました。子供さんが二人おられますが、普通であれば菓子屋にはならず、違職業を選択されてもおかしくない状況だったんですが、二人とも後を継がれ、現在ではお父様が始められ根深い苦労の上に出来あがったお店に、立派な花を二人のお子さんとご一緒に開花されました。そのご主人がやられてきた事を思い出すと、菓子屋という仕事に対して誇りを持っておられました。いつも子供さんに「今は店も小さいし苦労もしている、けれど菓子屋は世の中で言うメーカーなんだ。トヨタや松下と同格なんだぞ、粉と砂糖と卵を調合して自分の感性で商品をつくる。作った商品に対して値づけは自由だ、おまけにお菓子は食べたらなくなる、売れさえすればこんないい商売はない。自分が作ったお菓子が、お客様に認められ美味しいと言って頂くこの時が最大の喜びだ。考えてみろよ、親が子供に菓子を買えなくなったり、日本の国民が菓子を食わなくなった時は、戦争の時だけだ。菓子屋は絶対に滅びない。今は色々な事でぱっとしないが、俺がしっかりおまえ達の分まで苦労してやった、だから一緒に花を咲かすぞ。」と言いながら、まだその頃子供さんが中学生と小学生だったと思いますが、お二人を連れて繁盛店の見学に行かれていました。そして子供達に「この仕事は天職だ」本当に菓子屋でよかったと絶えず言っておられました。「子孫に美田を残すな」という言葉がありますが、その言葉に付け加えるとしたら、自分のやっている仕事の素晴らしさと誇りは絶えず後継者に語りつづける事が大切な事だと思います。子は親の後姿を見て育つと言います。それは成功している姿を見せたいのが親心です。しかし商売に栄枯盛衰はつきものです、よい時ばかりではありません。しかし、そんな時代の流れに対して、普遍的なものはその人が持っている誇りと信念だと思います。この事は自分がどういう状況であるとも伝える事は出来るはずです。
ある方が、こんな話をされていました。
「後継者に譲るとは、リレー競争と一緒だ、リレー競争はパトンを持った人が一生懸命走らなければいけない。自分がバトンを持っている時ぼちぼち走り、いざバトンを渡すときに、俺が走らなかったぶん、さー頑張って走れとバトンを渡しても、バトンを渡された者は走るわけがない、だからバトンを持っている者は一生懸命走らなければいけない。人生には一番で走っていても転んでビリになる時もあるし、どうしても足が遅い人もいる。いかに命を賭けて死に物狂いで走っているか、そして息も絶え絶えバトンを渡せば、必ず受け継いだ者は死に物狂いで走り出す。」
私はこの話を聞いた時非常に感銘を受けました。
色々な他の業界の方と話せば話すほど、考え方ややり方さえまちがわなければ、菓子屋さんは本当によい仕事だと思いますし、皆様方と関わりを持つ仕事をやっている私は、ここれこそ今の仕事を天職だと思っております。
全国を歩いていて、この業界も本格的な世代交代の時期に入ってきました。バトンを渡されるラストスパートの時期到来です。七洋も微力ながら精一杯ご協力できればと思っております。健闘を祈ります。

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