Vol.10
「五つの顔」を使い分ける接客
「五つの顔」を使い分ける接客
私は今、東京から福岡に向かう飛行機の中で、この文章を書いています。相変わらず、出張、出張が続く毎日です。でも、体は大変ですが、全国のいろいろな方々との出会いが毎日楽しく、また勉強になります。
さて、前に書いたエッセイのなかで、「繁盛店のパターン」という事を書きました。要するに、店が繁盛する事のなかには、いくつかの法則があるのではないかという事なのです。その中でも、もちろん商品は一番大切なのですが、その他にも、いろいろな繁盛店を回っていると、お客様との最大の接点である「接客」の大切さを強く感じさせられます。超繁盛なさっている店の奥様の接客には、いつも感動させられるのです。
ちょうど、そんな気持ちで飛行機に乗った時、素晴らしい接客をされる40歳位のスチュワーデスに出会いました。その時どうして感動したのか、私なりに分析したことを書いてみたいと思います。
飛行機の中の私の周囲は、お年を召された老夫婦、小さな子供さんを連れた30代中頃の夫婦、その後ろに20歳位の若い女性、そして40代の男性(これは私です)という構成でした。皆さん、この状況を頭の中で想い描いてみられませんか。そうです、この構成は、皆さんがいつも接客なさっている、お客様のゾーンと一緒なんです。①お年寄り、②主婦、③男性、④若い女性、⑤子供という五つの層なのですが、私が驚いたのは、このスチュワーデスに、それらに対応する五つの顔がある事に気づいた瞬間でした。
お年寄りには、体に気を遣う娘の顔。主婦には、同世代の同志。若い女性には、何でも知っているお姉さん。男性には、ちょっと色気のある奥さん。そして子供には、やさしいお母さん。こうした顔を自由自在に使い分ける姿に、驚いたのです。
こうして分析してみると、なるほど接客パターンがあるのです。従業員の接客教育の中でも、真心が込もったというような抽象的な表現をするよりも、この話しをして、五つの顔を持ちなさいと言った方が、従業員の方たちも理解しやすいかもしれません。
振り返ってみると、たしかに繁盛店の奥様たちが、いろいろな接客の顔を持っておられることは事実です。また、そういう対応を受けたお客様は、きっと、これは私だけの店だと強く感じられるはずです。
この飛行機の乗客の方々も、私を含めて、快適な旅をされていると思います。今、福岡空港の滑走路が見えてきました。



