Vol.18
「リピーターの研究」

「リピーターの研究」

ニューヨークのビル破壊テロ事件や、タリバンに対するアメリカの空爆など混沌とした時勢を感じております。そんな中、今沖縄に向う飛行機の中です。さて今回は、リピーター(同一のお客様が再度来られる)について考えてみました。
よく、コンサルタント会社の方がお店の販売に対する売上調査の資料を出される時に、その店が所在する地域から人口を割り出し、一人の菓子に対する消費は年間これくらいだから、だいたい目標想定がこれくらいになりますという話を聞きます。私が、全国を歩く中で繁盛店はこの方程式を逸脱し、完全に破った所ばかりであるという事を痛切に感じます。例えば、その地域に人口が3000人しかいなくとも、一人のお客様が朝来て、昼来て夕方来られるという店になれば、話が全く変わってきますし、ましてや今は車社会ですから、美味しいとなればどんな遠いところからも、わざわざ来て頂ける時代であると思います。ここで一度来店なさったお客様が、もう一度行ってみたいと思うリピーター現象はどういう事から生まれてくるのかを考えてみたいと思います。
現在の製菓製パン業界にとって、コンビニエンスの出現は非常に大きな驚異になってきております。普通のコンビニエンス一店舗の商品アイテムが3000種類以上もあり、その中に通信機能やトイレまであります。そしてその商品群の中に洋菓子も和菓子もパンも置いてあります。例えば、シュークリームを食べたいお客様が洋菓子専門店に向かっていたとします。そこでふとタバコが欲しくなり、近くにあるコンビニに立ち寄る。そこにシュークリームが置いてあり、ついでにここでシュークリームを買ってしまうかと思ってしまえば、その洋菓子専門店は、コンビニのついで買いに負けてしまったと言う事になります。今後は洋菓子、和菓子というものは、嗜好品であるという性質上、わざわざ来ていただける店にならなければ勝ち残っていけない事も事実です。
昔のプレスに「峠の釜飯」の話を書きましたが、あの時の釜飯を販売されるおじさん達の姿や、ホームから何時までも見送ってくれる姿を見たとき買おうという動機と、その味が何倍も増幅されるほど深くお辞儀する姿に、もう一度というリピーターの気持ちになりました。現在でその電車も新幹線に変わってしまい、確かに奇麗な売り子さんが販売にこられるのですが、まったく買う気がしないのは自分でも不思議なくらいです。私の気持ちの奥では、きっとあの情景とあのおじさんに会いたかったのだなと思いました。(プレス1号に「峠の釜飯」エッセイ記載、御連絡頂ければお送り致します。)
神戸の洋菓子店ツマガリの津曲社長からこんな話を聞いた事があります。「店は場所が悪い方が良い。何故ならいい場所で商売していると「売る側」がお客様は来てくれて当たり前だと言う気持ちになる。これは店にとって非常にマイナスだ。しかし初めから悪い場所で商売していると、わざわざこんな所まで来ていただいてという感謝の気持ちが生まれ、必然的にお辞儀をする頭の下げ方が深くなる。この気持ちが一番大切だ。」と。私はお客様に媚びをうれとは思いませんが、心からの感謝の気持ちは表現豊かに伝達しないと、お客様に伝わらないという事も知っておくべきだと思います。フランス菓子16区の三嶋社長はこんな事を言っておられました。「お客様が店に対する最高の評価を100点としたら、お菓子の持つ力は60点から70点くらいで、後の残りの30点から40点は菓子以外の店の力であり、それが何かを考える事が大切だ。繁盛店は少なからず80点から85点は必要である。だから菓子が美味しいだけではいけないと思う。」お二人のお話を思いだし、この言葉の中にリピーター現象を作るヒントがあるのではないかと思っております。このテーマは商売をなさっていく中では、きっと永遠のテーマではないかと思います。
今、飛行機は沖縄へ到着しました。今日は沖縄の代理店名城さんでミニ展です。
頑張らなくては。

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