Vol.3
石畳の想い出
石畳の想い出
今回、私はフランスのパリにいます。フランスで開催されるヨーロッパの製菓関係の展示会を見学するためです。フランスの街並みはとてもしっとりとしていて、道も日本のようにアスファルトでなく、石畳になっていて、とても情緒があります。
それにしても、フランス人とはオシャレなものです。遊び心もたいへん豊かで、こうしたことはフランスの歴史と風土によるものなのかも知れませんが。たとえば私がシャルル・ド・ゴール空港に着いた時の感想をお話しいたします。
シャルル・ド・ゴール空港は、フランスの表玄関であり、世界でも有数の近代的空港です。この空港には二つの大きなターミナルがありますが、ドゴール・Iと呼ばれるターミナルは、動く歩道を駆使した円形の建物で、まさにSFの世界をイメージしてしまいます。私が注目したのはこの動く歩道です。日本の成田空港にも動く歩道がありますが、これを比べてみると日本人とフランス人の国民性のちがい、また感性のちがいがわかります。日本人の動く歩道に対する考え方は、本当に実質本位で、A地点からB地点まで最短距離を結び、まっすぐに設計されています。しかし、フランス人の考え方はちがいます。動く歩道に乗っている人の気持ち、また、それを見るまわりの人の気持ち、全体の空間とのバランスを考えてA地点からB地点への最短距離のみを優先させることなく、歩道の直線に変化をもたせ、トータルの空間の中でデザインされているのです。やはり、フランスのデザイン感覚のグレードや、これをあたりまえのこととするフランス人の遊び心を私達も学ぶべきだと強く感じました。
さて、次にご紹介するのは、マドレーヌ広場にあるフォションの本店です。日本では洋菓子、そしてアップルティーでたいへん有名ですが、さすがにその本店ともなると店構えもたいへん立派で、日本人が大好きな”ルイ・ヴィトン”や”カルティエ”などの高級ブランドショップのグレードに決して引けをとりません。
店は2店舗、一方は洋菓子を販売し、もう一方はトレトウール、つまり、チーズ、ハム、ワイン、そうざい、香辛料などを売っています。日本ではフォションと言うと高級洋菓子店で名前が通っていますが、本店では、洋菓子よりもかえってそうざいが多く売られていたことにびっくりしました。これは、フランス人が根っからのパーティー好きで、誕生日、結婚記念日、クリスマス、ピクニックなどに気軽にみんなとパーティーをやる。このためにフランスでは伝統的にそうざい屋が多いそうです。メニューは、肉や魚のテリーヌや、フォアグラのパテ、またつけ合わせる野菜やフルーツ、ワインにいたるまで幅広く品揃えします。日本の洋菓子店は洋生菓子を中心として、ギフト菓子を取り扱う程度ですが、このフォション本店のように、”食”をたいへん広いポジションでとらえて、その店の品揃えをして行くことに、日本の洋菓子店のひとつの方向性を見たような気がしました。日本人も、ようやく時間のゆとりを考えるようになり、”食文化”のとらえ方も変化しています。私は今回訪れたフォションにたいへん学ぶべきものがある気がします。



