東京都港区
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
電話 03-5404-2222
世界最高峰スイーツのオリンピックである「クープ・デュ・モン・ドゥ・ラ・パティスリー」で日本代表チームの一員として準優勝など、数々の受賞歴を持つパティシエ、德永シェフ。小さな頃からの空手で培った精神力で、技術も意識も高い方です。
吉安 2019年5月にペストリー厨房の改装をされましたが、いかがですか?
德永 シェフとして就任した2016年は、ホテルがちょうど開業20周年で機械も古く、使いづらい厨房でした。 2018年11月、カンブリア宮殿での七洋製作所を見たトップ陣営の声をきっかけに、やっとペストリー厨房の改装がスタートできました。
吉安さんにはオーブン以外もインフラまで全てプロデュースしていただき、仕込み〜成型〜冷凍(ストック)〜焼成〜洗浄までが、以前の半分位の作業に短縮できました。
オーブンは、バッケン(BKSF24TL)、スチームラックオーブンZEN10枚差し(SRZー10E)を導入。バッケンは修行先でも馴染みがあり、憧れのブランドでした。
吉安 スチームラックオーブンZENの使用感はいかがですか?
德永 スチコンと違いラックが回転するので焼きムラが無く、温度管理がしっかりできます。ゼリーの殺菌など非常に良いです。ホテルのショップや百貨店にゼリーを出したら予想を遥かに超えた売上です。スチームラックオーブンZENが無かったら繁忙期を乗り越えられなかったと思います。このオーブンは温度上昇に時間がかからず、効率よく働いてくれます。頼もしいZENは販売戦略の強い味方です。
吉安 2機種のオーブンの使い分けなどございますか?
德永 バッケンは、ビスキュイ、マドレーヌ、フィナンシェ、シュー、チュイールなど、ZENはプリン、ゼリー、コンフィチュール、スコーン、パイ、メレンゲ、シュー、チュイールなどを焼いています。お薦めは、バッケンの火通りがいいのにしっとりしたスポンジ生地の苺のショートケーキです。カトルケーキのウィークエンドシトロンやフルーツパウンドなども生地自体がおいしく焼き上がるので売れ筋商品です。
ZENは、低温でもきっちり乾燥ができるので、作業性が上がり、かつ量産ができるため、アイシングクッキーも良く売れます。焼菓子も回転良く売れると鮮度が高く、さらに良く売れますね。
吉安 働き方改革でも大きな変化があったとお聞きしました。
德永 技術を高めるには時間が必要ですが、働き方への意識が高まり、職人の労働時間は、約2割減りました。それでも売上は2倍にアップしています。それを実現できたのは七洋さんのお陰です。インフラも整い生産性が上がって、好調です。
2020年はコロナで、予測もつかない日々が続きました。もし改装のタイミングを逃していたら、古い厨房機械と旧態依然のインフラ、労働環境の変化に対応できず、恐ろしいことになっていたはずです。転ばぬ先の杖、先手先手の攻めが必要だと思いました。
この先も何が起こるか分かりません。スタッフ全員にこれが最善の方法なのか、常に意識を持って、その立ち位置で全力投球をしようと伝えています。
意識を高めていくことは何事においても大切です。理屈で人は動きません。スタッフの夢やロマンの実現を一つでも多く見守れる男を目指していきたいと思っております。
取材後記
医医学の世界では「ヒポクラテスの誓い」と呼ばれるものがあり、現代ではプロフェッショナルな職業の人達にもその誓いは広げられています。プロフェッショナルとは「顧客第一主義」。徳永シェフは自分の技量を一生かけて磨き続ける覚悟が出来ている人であり、それを楽しめる人。そして、部下の能力やスキルを見極め、その人の成長を最大限に導ける人。部下の現状と要求とのギャップを把握し、そのギャップを自ら埋める覚悟を持って権限を与える。現場を何度も 拝見した私は、そんな印象です。現在、テレビで引っ張りだこの德永シェフ。お忙しい中、快く取材を受け入れて頂き誠に有難うございました。スタッフの皆様とこれからも仲良く飛躍されてください。
取材
七洋製作所 東京支店
営業部長
吉安 宏平