最初に横川社長にソフトフランスをご試食いただいた時、その味をすごく気に入ってくださいました。「これだけ美味しいならスタッフのまかないや、従業員の子供達の食事として食べさせたい」と言われたのがスタートです。それから今度はスタッフの方から「こんなに美味しいのに、なぜ販売しないのですか？」と言われたことをきっかけに『まかないパン』として販売を開始されました。本当にスタッフに優しい横川社長ならではのエピソードです。

嗜好品から主食へ

横川　最初にあの大きなソフトフランスを見た時は驚きました。スタッフ一同、そのインパクトにびっくりしました。そして、食べてみたら、またまたびっくり。ものすごく美味しい。
見た目のボリュームに対して、食べると軽くて、スッと入ってしまう。いくらでも食べられるような感覚です。冷凍でこのクオリティには驚きました。
トーストすると、これがまた美味しいですね。周りはサクサクで中はふんわり。誰もが好きになる食感だと思います。
味的には素材の良さを感じるシンプルな味なので、何にでも合います。クリームやあんはもちろん、焼きそば、たまご、ハム・ソーセージ、野菜など、何を挟んでも美味しくなります。サンドしたらまたボリュームが出て大きいのに、あっさりお腹におさまる。
野田 　本当に食べやすく、子供からお年寄りまで誰にでも喜ばれています。
横川　まずはスタッフの練習として、まかないなどに使っています。七洋さんに教えていただき、誰もが手軽に焼けるシステムを体験しました。「これならうちのスタッフでもいける」と思いました。実際に３〜４回もやれば、もう慣れていますね。
野田 　パン オ パッションを使うとパンに慣れていない方でも簡単だと言われることが多いです。
横川　Ｔ．ＹＯＫＯＧＡＷＡ風にアレンジして、１日３万円を目途に販売計画して行きます。お客様から喜んで頂けるように〝洋菓子屋ならではのパン〟を目指していきます。まずは定番化を狙って「カスタードクリームパン」からチャレンジしたいと考えています。
野田 　炊きたてのカスタードクリームはソフトフランスに合わせると美味しいでしょうね。私も食べてみたいです。

コロナ対策

野田 　コロナへの対策はどのようにされましたか？
横川　アルコール準備、入口ドア開放、レジカウンターに透明カーテン、間隔あけて床にシール、外でお待ちいただけるようにテント設置、入場制限、スタッフは飛沫防止用マスクとフェイスガードの着用、短時間でお買い物がしやすいように店の外にはメニュー表を貼り付け、アイテム数を絞り込み、営業時間も18時閉店に変更しました。また、スタッフを守るために４月26日～５月６日迄11日間お休みとしました。
オンライン・ネット注文では送料割引で対応しています。まだまだこの分野は確立できていないので、快適に活用していただけるようにするのが今後の課題です。
コロナで４月は厳しくなるとも予想していましたが、10％以上売上げは伸びています。
働き方改革・人手不足
野田 　今回あらためて感じたことは、横川社長が本当にスタッフの方々を大切にされているということです。和気藹々とした中にも厳しさもあり、明るく活気のある最高の集団だと思いました。
数年前からＴ．ＹＯＫＯＧＡＷＡ様では「人手は足りている」と断言されますが、その対策について教えて下さい。
横川　スタッフが１人辞めると、それに連鎖して辞めていく、まるでウィルスのような事態におちいることがあります。他のケーキ屋さんからは、人がいない、続かない、今の若い人は、ということをよく耳にします。
私は今働いてくれているスタッフに感謝しかありません。ただ単に働いてくれではなく、スタッフに目を向け、いつもコミュニケーションをとりＳＯＳに気付き改革することを心がけています。時には𠮟ることもありますが、褒めることを忘れずにモチベーションが下がらないようにフォローします。技術を１から学ぶことも必要ですが、長時間労働にならない事も大切です。効率を上げるために機械設備を入れることも考えないといけません。
野田 　おっしゃる通りですね。設備としては、スチームラックオーブンＺＥＮを導入していただきました。
横川　軸とも言える商品「バタークッキー」が、ＺＥＮの導入によって短時間で美味しく綺麗に焼けるようになりました。その後の衛生面と生産効率を考えて自動包装に通しています。時短にもなり個人店であっても生産効率を上げる〝企業化〟は必要です。