ケーキハウス ツマガリ

内山 この度は「スーパーバッケン」をご導入いただき大変ありがとうございます。お使いいただいていかがでしょうか。
津曲 ロールも、スフレチーズも、フィナンシェもすべて最高ですね。「スーパーバッケン」は火力が強くて下火が安定しているので、生地の火抜けが良くて浮きも上がっています。それに加えて焼成時間が短くなっていますね。
内山 お褒めいただきありがとうございます。もう少し具体的にお教えいただけますでしょうか。
津曲 そうですね、「スーパーバッケン」が一番実力を発揮している菓子を紹介しましょう。私どもに「甲陽園の陽子さん」という創業から35年ずっと販売している一番人気の焼き菓子があります。ファンのお客様が多く、毎日1000個、多い時には1500個くらいつくることもあります。このお菓子がぐっと良くなりました。
しかし、このお菓子は単純なのですがとても難しいのです。
内山 難しいとおっしゃいますと。
津曲 このお菓子はただのブッセのようですが、小麦粉を入れませんからただのブッセではありません。しかもメレンゲに生クリームを混ぜるという常識外れのとても危険な生地なのです。メレンゲの生地に生クリームを混ぜたら生地が死にますからフランス菓子ではこのようなことはしませんし、この配合はどこにもありません。
ポイントは生地の合わせ方と、良い卵白を使うこと。この生地の硬さで大きさを均等に高く絞るっていうのも簡単そうに見えてなかなか難しいのですが、もうずっとやっていますから体が覚えています。これが技術ですね。
内山 ということは、焼成にもレベルが必要なのですね。
津曲 もちろんです。上火200℃、下火165℃で19分、気密性の高い「バッケン」だからこそ焼けるのですが、驚いたことに入れ替えた「スーパーバッケン」で焼くと16分から17分くらいで焼けるようになって1分半くらい焼成時間が短縮されたのです。中は蒸すが如くふんわりと、外側には香ばしい焼きの味付けをしてくれます。これこそ火抜けの良い生地のおいしさです。鼻から抜けるアーモンドの香りはエッセンスなし、素材が持っている香りのみ。いい焼成は最高の香りを出します。
やっぱり下火がいいですね。安定して火が入っています。この焼き上がりを見てください、綺麗でしょう。表も裏も同じ焼き色です。上火200℃と下火165℃で表裏が同じ焼き色に上がるのは温度のバランスがピタリと決まっているわけです。真ん中も端も全く焼きムラがありません。
ここにサンドするプラリネクリームは、ローストしたアーモンド、ヘーゼルナッツ、砂糖でつくるプラリネペーストにバターを合わせますが、生地の存在感にクリームが負けないようにバターには空気を入れずに風味を強くしています。濃厚なクリームが生地のおいしさを何倍も楽しませてくれます。
焼成時間が短縮できて品質も上がる。これを見ると固定窯にとって下火の安定がどれほど大切かを教えてくれますね。もう七洋さんの「スーパーバッケン」は群を抜いてきましたね。
内山 ありがとうございます。
津曲 それから「スーパーバッケン」は、フィナンシェなどを高温で焼いた後、〝下火リセット〟を押すと下火がすっと下がりますから、すぐにロールのシートが焼けます。下火の温度を下げるために冷えた鉄板を入れたりする必要がありませんし、もう、時代はそんな無駄な時間を待っていられませんよね。

内山 ところで、洋菓子専門店様は今から真剣に焼き菓子に取り組まなければ、本当にもう人を雇用できないのではないかと思うのですが。
津曲 焼き菓子が売れないと労働環境は良くなりません。社員の給料やボーナスも上げられるようにいつも考えています。何のために会社があるのかというのを考えた時に、社員の犠牲の上に菓子屋があってはいけません。
内山 ただ、焼き菓子をやれば何事も上手く行くわけではありません。専門店としての香りや味、そして食感を深く追求し続けなくては。そのために私どもは「スーパーバッケン」を開発しました。
津曲 その通りですね。スーパーやコンビニにも焼き菓子やケーキが溢れています。日本の有名パティシエが監修した菓子がTVで宣伝されたりしていますが、専門店の菓子がそれと同じレベルならもう必要ないわけです。
もうずいぶん前になってしまいますが、私は店を開く時に将来は焼き菓子の売り上げを最低でも90%、生ケーキを10%の会社にしないと食べてはいけないと思いました。
内山 はい、そうおっしゃっておられました。
津曲 当時は誰も発想しないことでしたが、私は会社を維持・成長させるために焼き菓子に力を入れ、七洋さんはオーブンを売るために焼き菓子に力を入れて、同じ方向をひたすら一緒に進んできましたね。
七洋さんは私が意図する焼き菓子を忠実に焼き上げてくれるオーブンをずっとつくり続けてくれました。「スーパーバッケン」が下火をコントロールするという固定窯の究極のテーマさえクリアしたわけですから、私も専門店としてのおいしさをさらに深く深く〝深化〟させて行こうと思います。

フランス菓子16区

内山 昨年の8月に長年お使いいただきました「バッケン」を「スーパーバッケン」に買い替えていただき、大変ありがとうございます。お使いいただいて、焼き上がりはいかがでしょうか。
三嶋 ジェノワーズもいいし、パイもクッキーも全部いいですね。どれも〝下火がきちんと入る〟ようになりました。
内山 ありがとうございます。今、ムッシュにお褒めいただきました〝下火がきちんと入る〟ということですが、これは今まで固定窯にとって構造的にとても難しいことでした。通常、どの固定窯も上火の高い温度の影響を受けて下火の温度が下がりません。
このため下火のセンサーは、下火が常に設定温度を超えた状態だと判断するために下火がオンになりません。つまり下火が入らないまま周辺温度で生地を焼いていることになります。ですから下火に力がありませんし焼き上がりも安定しないのです。
「スーパーバッケン」は〝下火リセットシステム〟で下火に空気を送ることで上火の影響を取り除き、常に正確な温度で下火が入るようにしました。
三嶋 なるほど、〝固定窯の下火を安定させる〟とは凄いことを実現しましたね。おかげさまで、この〝下火の安定〟によってダックワーズが私の理想通りに焼き上がりました。
ダックワーズはもともと下火で焼くのです。もちろん上火も必要ですが、下火が入っていないとベチャッとした感じになっておいしくありません。「スーパーバッケン」は下火がきちんと入ってくれて、今までよりも焼成時間が短くなりました。だいたい15~16分かかっていたのが、今は13~14分くらいで焼けるようになりました。
内山 短く窯から出ると、焼き上がりが変わるのでしょうか。
三嶋 早く焼き上がりますから、生地が戻った時のしとりがとてもいいのです。うちではダックワーズを焼いて2個ずつ袋に入れます。
焼いてから大体3日目から6日目くらいがおいしいのですが、「スーパーバッケン」で焼くようになってからは、3日目から10日目くらいまでおいしい期間が延びました。
上火も下火も適正な温度でピシッと包み込むように焼くと浮きがとても安定しています。表面はパリッと焼き上がり、中には水分が残り今までよりもフワッとしていてやわらかく、とても火抜けがいいと思いました。
内山 先日、「スーパーバッケン」で焼いたダックワーズを一口食べさせていただいた時に、そのおいしさにハッとさせられました。私は何度もこちら様のダックワーズをいただいておりますので、今までのものとの違いがすぐにわかりました。
三嶋これだけたくさん焼いていますから、焼き色が違っているものや、浮きが悪くてネチャッとするものが少しはあっても仕方ないと思っていました。
でも今は全部浮きが良くて綺麗に同じ焼き色に焼き上がります。「スーパーバッケン」は凄いですね、本当に〝スーパー〟です。
ダックワーズを販売して41年が過ぎました。七洋さんが密閉度を極め続け高い焼成力を追求し続けるのと一緒に、私どものダックワーズも品質を高めてきました。
そして、今度は下火のコントロールができる窯を手に入れて、フランス菓子16区のダックワーズも42年目にして、また大きく進化しました。本当にいい窯をつくられたと思います。

内山 他のお菓子の変化はいかがでしょうか。
三嶋 マロンパイも良くなりました。今まではどちらかというと周辺の温度で焼いている乾燥焼きに近い状態だったのではないでしょうか。「スーパーバッケン」はやっぱり火が入りますね。層が一枚一枚浮いてパイが軽くなりました。食感もサクサクとさらに良くなりました。
ガレットブルトンヌも良くなりましたね。これも生地の中心まで下火が綺麗に入ることで、ザクザク、ホロホロと崩れるような食感は軽さを増し、濃厚なバター感も深みを増しました。 シフォンケーキなどにもやっぱりいいですね。凄くしとりが出てきちんと焼けています。この良さは、やっぱり使ってみないとわからないでしょう。
内山 ダックワーズなどの焼き菓子が早く安定して焼けるようになることは、経営面では具体的にどのようなメリットがございますでしょうか。
三嶋 それは、仕事の効率が一番大きいでしょう。一回ごとの焼成時間が短縮できるから仕事は早く終わりますし、短縮できた時間を使って増産することもできます。しかも焼成ロスがなくなるのも大きいですね。
私どもの営業時間は午前9時から午後8時まででしたが、今は午前10時から午後6時です。
これからの経営環境を考えて、スタッフの働く時間の適正化にも積極的に取り組みました。たとえ売り上げが下がっても、店の営業時間を3時間短くしました。
内山 ところで、売り上げは下がりましたでしょうか。
三嶋 結果的には以前よりも売り上げは伸びて利益も出ています。しかし、ただ営業時間を短くしたわけではありません。提供する菓子、アイテム数、製造のローテーションなどあらゆるものを見直しました。
そして、こうした見直しはお客様への接客や菓子の品質を維持するのではなく、むしろ上げるつもりで臨みます。
時代は大きく移り変わろうとしています。新たに導入した「スーパーバッケン」のポテンシャルをぐっと引き出して、時代の勢いを大いに先取りしたいですね。

お菓子の素カンパニー

弊社は昨年の12月25日、創業50年の節目を迎えることができました。
これもひとえにお客様、取引業者様のお陰であると、従業員一同感謝いたしております。

お菓子の素カンパニー

ここで皆様方に七洋製作所から「お菓子の素カンパニー七洋製作所」と呼び方を変更いたしましたことを、お伝えいたします。現在オーブン全般機種の設計製造から冷凍生地製造そしてOEM製造、どら焼き製造機のようなお菓子全般の機械の設計製造、またリムジンの前後装置の開発、テクニカルによる商品開発、さらに福岡本社、東京支店、大阪支店、名古屋営業所にラボ(南蛮塾)を置き、在籍しているテクニカルによる技術指導を実施いたしております。このような事業全般の社業に対して、七洋製作所だけでは表現しきれず「お菓子の素カンパニー」を頭に付けるようにいたしました。今後は「お菓子の素カンパニー 七洋製作所」とお呼びください。お客様への下支えをさらに、強固なものにする覚悟でおります。

昔の成功体験が仇になる

今から20年前の労働力は菓子店にとって修業という、独立を目指す若者により成り立っておりました。当時は洋菓子店の新規独立も大変多く、その野心と夢を持った若者は意欲的に時間も気にせず、懸命に自分の店を持つ為に働きました。この労働力は店のオーナーにとって多大な力になっておりました。
ところが時代が変わり、2020年からの働き方改革により、労働時間の短縮や残業代の明確化、同一賃金同一労働の実施が始まりました。また少子高齢化により独立を目指す方々の減少など労働環境の変化は様変わりしたといえます。今まで当たり前であったオーナー自身が体験したような人使いをすればそれが仇になる時代といえます。

もう一度お菓子の生産原価を見直す

新製品スチコンRENによる、「店の中に店をつくる」提案を今回モバックショウではいたしております。焼成品目は弊社冷凍生地を使用しております。目的は何か、それはお菓子の生産原価は材料費+工程人件費であることを明確に表現しお伝えしたいと思っているからです。例えばシューの生地を例にとってみますと、この生地を作る段階において誰がどれだけの時間をかけて製造したのか、オーナーの時給とパートさんの時給とは明らかに違いますし、だれが作り時間がどれくらいかかったかを出すことはなかなか難しいといえます。ところが冷凍生地であれば原価が決まっており、そこからオーブンで焼成するだけですから製造原価は非常に明確になります。私は専門店の原価の出し方をまずはここから始めるべきだと思っております。これは弊社の生地を使って下さいということではなく、商品の材料費は計算しても、工程人件費を計算しない専門店のオーナーが多くおられるからです。
修業という無尽蔵な労働力があった時代から間違いなく大きな変革が来たことを意識していただきたいと考えております。

再度[店の中に店をつくる提案]

私はたくさんの繁盛提案を色々なお店と行ってきましたが、やはり究極「店の中に店をつくる」この考えこそが一番効果があったと感じております。
今回のモバックショウでは新機種スチコンRENを使用して、お店の死に場所にお店をつくる提案を再度いたしております。お店の死に場所が五感「見る、匂い、音、活気、触れる」を発することができれば必ずお店は変わると確信いたしております。ぜひ「店の中に店をつくる」この提案をご覧ください。
また今回出展します新機種としては、全自動どら焼き機、スーパーバッケン、新ECOバッケンなど多くの新機種を出品いたします。従業員一同お待ちいたしております。

潮目を見る

この言葉は、時代の移り変わりを誰よりも早く掴み取り、時代と同調しながら、お店の個性を出していくことだと思います。それには自分が正しいと思っていた考えを180度変える努力が必要かもしれません。言葉では簡単ですが中々難しいことです。しかし継続して繁盛していかれるお店を見ておりますと「潮目を見る」を着実に実行されている方々であると思います。
進化論を考えたダーウィンの名言「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。」

皆様方のご健闘をお祈りいたします。
羽田から福岡への飛行機の機内にて